外国人は不起訴だらけ? 日本人より外国人の方が起訴率は高い【#参院選ファクトチェック】

参院選で外国人受け入れが争点の一つとなる中で「外国人は不起訴だらけ」という投稿が拡散していますが、誤りです。法務省の統計を見ると、外国人の起訴率は日本人よりも高くなっています。
検証対象
参院選で外国人受け入れが争点の一つとなる中で「外国人は不起訴だらけ」「外国人犯罪の不起訴率が上がっている」「外国人犯罪の不起訴が多い」などの投稿がX、TikTok、YouTubeなど複数のプラットフォームで大量に拡散している(例1,2,3)。

検証過程
刑法犯の起訴率は外国人の方が高い
法務省が公開している犯罪白書の最新データを見ると、2023年の起訴率は殺人や強盗や傷害などの刑法犯全体で36.9%、外国人の刑法犯起訴率は41.1%と外国人の方が高い。
また、過去10年を遡っても全体が30%台なのに対し、外国人は40%台で、いずれの年も外国人の方が起訴率は高い(いずれも法務省”令和6年度 犯罪白書”)。
全体の起訴率については、犯罪白書P43の2-2-4-2図「起訴・不起訴人員等の推移」、外国人の起訴率については、4-9-3-2図「来日外国人被疑事件 検察庁終局処理人員(処理区分別)の推移」に説明がある。
特別法犯では入管法を除けば日本人と同水準
風営適正化法や銃刀法などの特別法犯の起訴率だと、全体で45.4%、外国人が41.9%と外国人の方が3.5ポイント低くなる。
しかし、外国人に特有の犯罪で、しかも、大半を占める入管法違反の事例を特別法犯から除くと、日本人とほぼ同水準となる(法務省”令和6年度 犯罪白書第4編第9章第3節”)。
参政党議員発言を沖縄タイムスが検証
外国人の起訴率については、沖縄タイムスが参政党の吉川里奈衆院議員の「外国人の不起訴率はなぜか右肩上がり」という街頭演説での発言をファクトチェックし、「誤り」と判定している(沖縄タイムス”「外国人の重要犯罪増」はミスリード 「不起訴率が右肩上がり」は誤り 参政党・吉川里奈衆院議員の街頭演説【ファクトチェック】”)。
判定
「外国人は不起訴ばかり」という言説は誤り。刑法犯の起訴率は日本人よりも外国人の方が高く、特別法犯で見ても入管法違反の事例を除けば日本人とほぼ同水準だ。
出典・参考
法務省”令和6年度 犯罪白書”https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00134.html(閲覧日2025年7月14日)
沖縄タイムス. ”「外国人の重要犯罪増」はミスリード 「不起訴率が右肩上がり」は誤り 参政党・吉川里奈衆院議員の街頭演説【ファクトチェック】”2025年7月10日. https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1624023(閲覧日2025年7月14日)
検証:古田大輔
編集:根津綾子
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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