開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報【ファクトチェック】

開票機器大手「ムサシ」の筆頭株主は安倍晋三氏で票を操作? 選挙のたびに拡散する誤情報【ファクトチェック】

総選挙に関連して、「開票機器大手の筆頭株主は安倍晋三氏」「不正が行われやすい」という言説が拡散しましたが、誤りです。筆頭株主が安倍氏だったという事実はなく、また開票作業は不正防止のため、機械だけでなく、人の目でも監視しています。

検証対象

2024年10月24日、森友学園事件で有罪判決を受けた籠池泰典氏が「我が国の選挙制度について、本来、手で開票していましたが、いまではムサシという機械が使われています」「ムサシという機械の筆頭株主も、安倍晋三首相とも聞いております」「自動集票することによって、不正が行われやすい状況」と語る過去の動画が再拡散した。投稿には「#ムサシ」のハッシュタグがつけられていた。

2024年10月24日午後2時現在、この投稿は240件以上リポストされ、表示回数は8000件を超える。投稿について「日本も選挙は茶番」「これは大事な情報」というコメントが付いている。

検証過程

筆頭株主は「上毛実業株式会社」

筆頭株主は、企業の有価証券報告書から確認することができる。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、開票システム「ムサシ」を展開する株式会社ムサシの有価証券報告書を確認した。ウェブで公開されている2002年3月期から2024年3月期まで、筆頭株主は上毛実業という企業だった。

開票システム「ムサシ」とは

株式会社ムサシは選挙の投票や開票に関する様々な機器を販売している。投票用紙の読取分類機、計数機、交付機、投票箱の中で自然に開くオリジナル投票用紙、投開票業務管理ソフト、投票箱や投票記載台などだ(株式会社ムサシウェブサイト)。

例えば、読取分類器に関する説明で「投票用紙に書かれた手書き文字(漢字・ひらがな・カタカナ)を毎分660票のスピードで識別し、候補者別 (政党名別) に自動分類」するなどとサイトで紹介しており、動画で実際の動きも見ることができる(同サイト)。

選挙の開票所では、これらの機械だけではなく、選挙管理委員会の担当者や委員会によって選ばれた「開票管理者」、各陣営からの立ち会い、記者や開票作業の見学を希望する人の目もあり、不正を防止している。

NHKは2024年9月、ムサシに関連して選挙不正を疑うSNS投稿に関して、検証記事「不正選挙? 選挙に関する“偽情報”を調べてみると…」を配信している。記事ではムサシの機器について「票を書き換えたり、差し替えたりするような機能はない」と述べている。

ムサシの広報はNHKの取材に「当社の選挙の機械のうち開票所で使われるものは、票の流れが見える形を設計の方向性として考えております」「こちらの機械を通ったものを選挙管理委員会の方、選挙の従事者の方々に人の目で2回確認いただいて、正確性を保っていられるのではないかとも考えております」と回答している。

動画は2019年の会見

拡散した籠池氏の動画は2019年10月に森友学園問題に関して外国特派員協会で記者会見を開いた際の映像だ。過去に何度も拡散しており、BuzzFeed毎日新聞もファクトチェックして「誤り」と判定している。

判定

株式会社ムサシの筆頭株主は2002年から2024年まで上毛実業株式会社だ。選挙システムは表を書き換えたり差し替えたりする機能はなく、人の目でも確認できるシステムとなっている。よって誤りと判定した。

検証:木山竣策
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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