衆院選の開票作業で不正? 2年前の市長選、一・二審では不正認められず【ファクトチェック】

衆院選の開票作業で不正? 2年前の市長選、一・二審では不正認められず【ファクトチェック】

衆議院選挙の投開票日の2026年2月8日、開票所の職員が不正をしているかのような動画が拡散しましたが、誤りです。この動画は2024年の宮崎県日向市長選挙のもので、衆院選とは関係がありません。また、この市長選後、落選した男性が不正があったと主張しましたが、一審・二審では不正は認められず、逆に名誉毀損で有罪判決を受けています。

検証対象

拡散した言説

2026年2月8日、開票所の職員が、票の束を動かす映像と共に「えっ?なんで…隣に動かしてんのっ!? 日本全国のみんな!開票所にはカメラ持って、見学(監視)に行こう」とコメントした投稿が拡散した。

動画には、男性が「黒木紹光」とあるスペースから票のような束をカゴに移し、それを「十屋幸平」のスペースへ移動させているように見える様子が映っている。

検証する理由

2月15日現在、投稿は1.8万件以上リポストされ、表示は1940万件を超える。選挙の公平さを歪める投稿で、拡散しているため検証する。

検証過程

動画は2024年3月の日向市長選挙

映像の右上には「日向市長選挙 開票速報」というテロップが入っている。この動画をGoogleレンズで検索すると、2024年6月の「やはり不正はあるようですね。#不正選挙撲滅宮崎県日向市長選(令和6年3月17日)での不正の現場が映っています」という動画付き投稿が見つかる。

この動画の出典を探すと、宮崎県延岡市の「ケーブルメディアワイワイ」がYouTubeでライブ配信していたものが見つかる。今回、拡散した動画は、「犯行18」という文字や、作業する職員を囲う赤い円を加えている。

2024年3月の日向市長選挙には、3選を目指した十屋幸平氏、元県議の西村賢氏、新顔の黒木紹光氏の3氏が立候補。西村氏が当選した(朝日新聞.”日向市長選、元県議の西村賢氏が初当選 新体育館「中止も」 [宮崎県]”)。

市長選での不正を主張した男性を名誉毀損容疑で逮捕

この市長選後、落選した男性が、自分の得票が他の候補に付け替えられたなどと訴え、動画や数人の市職員の氏名などを表示した画像を投稿した。

2024年5月、宮崎県警は虚偽の動画や記事を投稿した疑いで、この男性を名誉毀損容疑で逮捕した(読売新聞.”市長選で「得票が他の候補に付け替えられた」と虚偽の動画投稿…落選の男を名誉毀損容疑で逮捕”)。

福岡高裁宮崎支部「選挙に不正があったことは全くうかがわれない」

男性は起訴され、2025年5月、宮崎地裁延岡支部では求刑通り懲役1年6か月と判決を下した。2025年10月には福岡高裁宮崎支部が一審を支持し、被告側の控訴を棄却した。

一審・二審ともに「選挙に不正があったことは全くうかがわれない」としている(読売新聞.”市長選挙で落選後、「開票作業で不正があった」と虚偽の動画掲載…名誉毀損罪に問われた被告に実刑判決”.動画投稿サイトに「市長選の開票作業で職員が不正」、2審も懲役1年6月判決…「不正は全くうかがわれない」”)。

日向市選管「不正はそもそもありません」

2024年の市長選について、JFCは日向市に問い合わせた。市は「不正はそもそもありません」と回答した。

判定

衆院選の投開票日に開票所で不正に票が操作されているかのような動画が拡散したが、誤り。動画は約2年前の宮崎県日向市長選のものだ。また、この動画を理由に不正選挙を主張した落選候補は逮捕され、名誉毀損罪で一審・二審で有罪判決を受け、「選挙に不正があったことは全くうかがわれない」と認定されている。

あとがき

2026年衆院選では、これまで以上に「不正選挙だ」と主張する投稿が大量に拡散しています。日本の選挙に関しては、各地の選挙管理委員会で不正の防止策が実施されており、多くの不正選挙に関する投稿は根拠のない偽・誤情報です。また、投票所や開票所には各陣営からの立会人もおり、大規模な不正は極めて困難です。

JFC"「期日前投票はすり替えられる」「鉛筆で書かせるのは消すため」「開票システムに仕掛けがある」 繰り返される不正選挙疑惑を検証【#衆院選ファクトチェック】"

出典・参考

朝日新聞.”日向市長選、元県議の西村賢氏が初当選 新体育館「中止も」 [宮崎県]”.https://www.asahi.com/articles/ASS3M2GTHS3MTNAB004M.html ,(閲覧日2026年2月19日)

読売新聞.”市長選で「得票が他の候補に付け替えられた」と虚偽の動画投稿…落選の男を名誉毀損容疑で逮捕”.https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240515-OYTNT50054/ ,(閲覧日2026年2月19日)

読売新聞.”市長選挙で落選後、「開票作業で不正があった」と虚偽の動画掲載…名誉毀損罪に問われた被告に実刑判決”.https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250510-OYTNT50081/ ,(閲覧日2026年2月19日)

読売新聞.”動画投稿サイトに「市長選の開票作業で職員が不正」、2審も懲役1年6月判決…「不正は全くうかがわれない」”.https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20251003-OYTNT50098/ ,(閲覧日2026年2月19日)

検証:木山竣策
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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