イランの戦争をめぐるAIディープフェイクの大量拡散/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】
毎週日曜に発行しているニュースレター「今週のファクトチェック」ですが、明日は私がマラソン大会に出ているため、普段より半日早く配信します。
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃をめぐって、AIによる偽の画像や動画(ディープフェイク)が大量に拡散しています。
日本ファクトチェックセンター(JFC)も今回の戦争に関する様々な検証記事を出しています。ディープフェイクだけでなく、過去の映像の使い回しなどもあります。そういったものは「チープフェイク」などと呼ばれます。
ディープフェイクは2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻、2023年からのパレスチナ・ガザ地区での戦争でも拡散しました。しかし、今回の戦争は質と量が全く異なります。
私たち、ファクトチェッカーの眼で見ても真贋がわからないディープフェイクが大量にソーシャルメディアに投稿されており、検証が追いつきません。
爆発する建物や逃げ惑う人々の悲鳴、検証のためにそれらの動画を見続けることは、非常に大きなストレスになっています。しかも、アルゴリズムの力によって、一度そういう動画を見始めると、次々と眼にすることになります。
世界の悲劇に目を向けることは、重要なことです。しかし、それが金銭目的や人の注目を集めるがためのディープフェイクであれば、何の意味があるでしょう。
生成AIの発達によって、事実確認が取れていない映像を見ることのリスクは跳ね上がりました。私たちは5年前とは違う非常に危険な世界に生きていると言わざるをえません。(古田大輔)
今週のお知らせ
JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。
次回の開講は3月22日(日)午前10時~11時30分で、お申し込みはこちら。
https://jfcyousei0322.peatix.com/view
今週の解説・コラム
「偽情報の源はテレビ」は本当か? 批判の根拠となった調査を実施した小笠原教授とデータを読み解く
「偽・誤情報の発信源はテレビが最多」という趣旨の投稿が多数拡散しました。きっかけは、衆院選期間中の有権者の偽・誤情報の接触状況を調べた東洋大の小笠原盛浩教授(情報社会学)による調査です。ただし、小笠原教授は調査データの読み解き方に、慎重さが必要だと説明します。

今週のファクトチェック
日本政府がイラン攻撃を支持? 小泉大臣らは支持も不支持も表明していない
アメリカのイラン攻撃について、小泉進次郎防衛大臣の会見動画とともに「日本政府は早々に支持を表明した」という投稿が拡散しましたが、不正確です。小泉氏は、政府の立場について「官房長官や外務大臣の会見内容の通りである」と述べるにとどまっています。また、木原稔官房長官、茂木敏充外務大臣は会見で「イランによる核兵器開発は決して許されない」と述べたうえで、米による攻撃に関しては、支持・不支持を明らかにしていません。

イランが攻撃したドバイのCIA本部? 2015年の高層マンション火災の映像
「今朝、イランが標的としたドバイのCIA本部の映像が公開された」という文言とともにビルが煙をあげて燃える動画が拡散しましたが、誤りです。動画は2015年の高層マンションの火災を映したものです。

イスラエルの原子力発電所をイランのミサイルが破壊? 動画は2017年ウクライナの映像
イスラエルの原子力発電所がイランのミサイルで破壊されたという動画が拡散しましたが、誤りです。動画は2017年にウクライナの弾薬庫が爆発した映像です。

イランがミサイルで米国の空母を沈没させた? 動画は古い映像
「アメリカとその代理人が誇示していた空母エイブラハム・リンカーンを標的にした。4発の弾道ミサイルで十分だった」という動画付き投稿が拡散しましたが、誤りです。添付された動画は、2025年にはインターネットに投稿された動画で、実際のものではなく、ゲーム動画の可能性があります。

アメリカの空母が燃える画像? AIで生成されたディープフェイク
アメリカとイスラエルによるイランへの大規模戦闘作戦をめぐり、アメリカの空母が燃える画像とともに米軍兵士に多くの死傷者が出ているという投稿が拡散しました。画像はAIで生成されたもので、投稿は誤りです。画像はGoogleの生成AI「Gemini」で生成したことを示す印があります。また、Geminiで生成された画像であることを示す新技術「SynthID」も含まれていました。投稿には米軍兵士の死傷者は560人とありますが、3月5日時点でそのような情報や報道はありません。

がれきの下のハメネイ師の遺体? AIで生成されたディープフェイク
「がれきの下に横たわるハメネイ師の遺体」とされる画像が拡散しましたが、AIで生成された画像です。Googleの生成AI「Gemini」が使われたことを示す電子透かし「SynthID」が含まれていました。

前衆院議員・枝野幸男氏が政治家を引退? 本人は発言していない
前衆院議員・枝野幸男氏が政治家を引退するかのような投稿がXで拡散しましたが、ミスリードで不正確です。投稿が参照した記事で、本人は「ゆっくり考えたい」と発言しているだけで、枝野氏の事務所は「引退などは言ってはおりません」と述べています。

今週の動画/ポッドキャスト
国民・玉木代表が立憲出身の落選者を大量受け入れ?
日本政府がイラン攻撃を支持?イスラエルの原子力発電所をイランのミサイルが破壊? ~JFC週刊ポッドキャスト2026年3月6日号~
日本ファクトチェックセンターがお届けする「JFC Weekly Podcast」です。AIパーソナリティがわかりやすく解説していきます。
今回のトピックは、以下の通りです!
日本政府がイラン攻撃を支持? 小泉防衛相らは支持も不支持も表明していない【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/japan-backs-us-strike-iran-koizumi/
イランがミサイルで米国の空母を沈没させた? 実際の映像ではない【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/international/uss-abraham-lincoln-iran-missile-attack/
イスラエルの原子力発電所をイランのミサイルが破壊? 動画は2017年ウクライナの映像【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/international/israel-nuclear-plant-iran-missile/
イランが攻撃したドバイのCIA本部? 2015年の高層マンション火災の映像【ファクトチェック】
https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/international/iran-attack-dubai-cia-hq-video/
紹介した海外の記事はこちらの3本です↓
その他の関連記事
情報について「考える」態度を身につける授業〜子どもをエンパワーメントする:スマートニュース メディア研究所 SmartNews Media Research Institute

Google’s “AI Overviews” Supercharge Iran Hoaxes:NewsGuard's Reality Check
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/googles-ai-overviews-supercharge
X will demonetize users who post AI-generated videos of war (but not other kinds of disinformation):Nieman Lab

U.S. Central Command (@CENTCOM) on X
More fake news from the Iranian regime:
— U.S. Central Command (@CENTCOM) March 4, 2026
🚫The regime claims U.S. forces are withdrawing.
🚫They say they sank a U.S. destroyer.
🚫IRGC claims to have taken down U.S. fighter aircraft.
🚫The regime says they killed 100 U.S. Marines.
ALL LIES.
Reality:
✅U.S. forces are… pic.twitter.com/X0P0X4VdTa
Community Notes Alone Won't Beat Disinformation: Why Fact-Checkers Are Essential:Tech Policy Press

野放しの中傷動画、選挙工作の温床に アルゴリズム規制は欧州先行:日本経済新聞

Iran Goes On a Disinformation Offensive:NewsGuard's Reality Check
https://www.newsguardrealitycheck.com/p/iran-goes-on-a-disinformation-offensive
偽情報・ナラティブはなぜ信じられ、拡散されるのか。脳科学から「信じやすさ」「共有しやすさ」の認知特性を分析:NTTデータ

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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