朝日新聞入社式にハングル文字や韓国・中国の国旗?改変された画像【ファクトチェック】

朝日新聞入社式にハングル文字や韓国・中国の国旗?改変された画像【ファクトチェック】

「朝日新聞の入社式の写真」として、朝日新聞社旗の両脇に韓国と中国の国旗を並べ、ハングル文字を掲げた画像が拡散しましたが、誤りです。実際の入社式の画像を改変したものです。

検証対象

2024年12月8日、「朝日新聞社の2014年度入社式」だとして、社旗の横に韓国と中国の国旗を並べ、式典タイトルをハングル文字にした画像が拡散した。「マスゴミなんて皆同じ」というコメントが付けられている。画像には「これが、日本の式典でしょうか?こんな新聞を信じられる訳ない!」という書き込みも付けられている。

60万を超える閲覧と600以上のリポストがあり、「日本の主要マスコミは韓国と中国が抑えています」「日本のマスメディアは日本破壊工作機関」などのコメントのほか、「さすがに合成した写真でしょうか?」という指摘もある。

検証過程

拡散した画像をGoogleレンズで検索すると、人物の並びがまったく同じ構図の写真が見つかる。2014年11月6日付の宝島社のネット記事に掲載された写真だ。

記事タイトルは「溶けていく文系エリート!朝日が、『メディアの東大』『朝日人』と呼ばれた理由」で、椅子に腰掛けている人たちのうつむき加減などが完全に一致している。ただ、社旗の左右に韓国・中国の国旗は無い。式典のタイトルもハングル文字ではなく、日本語で「2013年度 朝日新聞社入社式」と記されている。

また、拡散した画像は、朝日新聞の社旗にシワがあるものの、韓国と中国の国旗は平たく見える。ハングル文字の位置もやや下にある。

日本ファクトチェックセンター(JFC)が、朝日新聞社広報部に確認したところ「ご指摘の X に投稿された写真は、当社の2013年度入社式の写真が、第三者によって意図的に加工されたものです」との回答があった。

判定

「朝日新聞の入社式」として拡散した韓国・中国の国旗が掲げられた画像は改変されたもので、誤り。

検証:宮本聖二
編集:古田大輔、藤森かもめ


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら

もっと見る

宮城県・村井知事が土葬を肯定? 「完全に断念した」と発言【ファクトチェック】

宮城県・村井知事が土葬を肯定? 「完全に断念した」と発言【ファクトチェック】

2025年10月26日に投開票される宮城県知事選で、立候補している現職の村井嘉浩氏が「東日本大震災後に火葬場が足りず一時的に土に埋葬されたことを引き合いに出し、土葬を肯定している」という趣旨の投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。村井氏はYouTubeの討論番組で震災時の土葬について発言していますが、県内での土葬については「完全に断念した」と述べています。 検証対象 拡散した言説 2025年10月22日、「東北で被災されて火葬場足りなくて…なくなく、しかも一時的に埋葬されたことを村井現知事は引き合いに出して、それで土葬を肯定するってふざけてんの?」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 10月24日現在、投稿は7500回以上リポストされ、表示は232万件を超える。投稿には「ちょっと待て それのソースは?」などの指摘の一方、「嫌悪感しかないわ😡🔥」「村井知事のヤバい面が次々に明るみに出てきましたね😆」など同調するコメントが多数ある。 投稿に添付されているのは、宮城県知事選に立候補している前参院議員の和田政宗氏の街頭演説だ。和田氏の動画

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
広島県尾道市に猫の石畳? 画像はAI生成か【ファクトチェック】

広島県尾道市に猫の石畳? 画像はAI生成か【ファクトチェック】

広島県尾道市に猫模様の石畳があるという動画がTikTokやInstagramで拡散しましたが、誤りです。Googleで検索しても尾道市にあると表示されますが、画像はAIで生成された可能性が高く、尾道市は「把握しておりません」と否定しています。 検証対象 拡散した言説 2024年ごろから「広島県尾道市に猫の石畳がある」という動画がTikTokやInstagramのリールなどで拡散している(例1、例2)。 動画では猫の顔の形をした石畳が映り、尾道市の「猫の石畳」として紹介されている。 検証する理由 動画について「かわいい」「絶対行きたい」というコメントがつく一方で「これは本当にある道ですか?」という指摘もある。 実際に猫の石畳目当てで来る旅行客もおり、Xでは、尾道市のカフェが「それを目的で尾道来られたお客様がいらっしゃいまして、残念に思っておられました」と投稿し、拡散している。 検証過程 画像はAI生成か Googleレンズで検索すると、同様の画像が多数表示される。 この画像をダウンロードしてAI生成検出ツールHIVE MODERATIO

By 木山竣策
日本では土葬すると死体遺棄で法律違反? 禁止されておらず、国内事例も【ファクトチェック】

日本では土葬すると死体遺棄で法律違反? 禁止されておらず、国内事例も【ファクトチェック】

日本では土葬をすると死体遺棄で法律違反という情報が拡散しましたが、不正確です。埋葬に関する法律は土葬を禁じていません。自治体が認可した墓地の区域内で、実際に土葬をしている事例もあります。 検証対象 拡散した言説 2025年10月19日、「土葬って言うのやめませんか?日本では死体遺棄、法律違反ですよ」という投稿が拡散した。 検証する理由 10月21日現在、この投稿は1.4万件以上リポストされ、表示回数は346万回を超える。投稿について「間違いなく日本では死体遺棄ですね」「その通りです!」というコメントの一方で「土葬は禁止されていません」という指摘もある。 宗教的な理由などで土葬を求める人達もおり、議論が広がる中で「違法」という情報は、反対派を中心に拡散する傾向がある。 検証過程 埋葬に関する法律の規定は 墓地や埋葬は「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」で、2条「この法律で『埋葬』とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう」、2条の2「この法律で『火葬』とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう」、4条

By 木山竣策
飛行機雲は「ケムトレイル」でワクチン混じり? 世界で繰り返し拡散する陰謀論【ファクトチェック】

飛行機雲は「ケムトレイル」でワクチン混じり? 世界で繰り返し拡散する陰謀論【ファクトチェック】

飛行機雲は実は雲ではなく、闇の勢力が危険な化学物質を散布する「ケムトレイル」だという陰謀論が存在します。最近ではワクチン成分が含まれているという情報が拡散しましたが、誤りです。「ケムトレイル」は存在せず、飛行機雲は航空機の飛行で生じる水蒸気や二酸化炭素などによる線状の雲です。各国の公的機関やファクトチェック機関などが「根拠のない主張」として、度々、否定しています。 検証対象 拡散した言説 2025年10月18日、「最近ではワクチン成分が撒かれているらしい」という文言付きの動画がXで拡散した。動画は飛行機雲は、実は危険な化学物質の「ケムトレイル」だという陰謀論に基づいている。 検証する理由 10月22日現在、投稿は860回以上リポストされ、表示は6万件を超える。 投稿には「なんでここの人達はこんな陰謀論を信じ込むんだよ」などの指摘がある一方、「ケムトレイルの恐怖😰」「岸田が コロナワクチンが大量に余って 捨てた と言ってたから 捨てるって空しかないでしょ」など同調するコメントも多数ある。 ケムトレイルは根拠のない陰謀論として、何度も繰り返し拡散し

By 根津 綾子(Ayako Nezu)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は11月28日(土)午後5時~6時30分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei1128.peatix.com/view 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にど

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)