日本では土葬すると死体遺棄で法律違反? 禁止されておらず、国内事例も【ファクトチェック】

日本では土葬をすると死体遺棄で法律違反という情報が拡散しましたが、不正確です。埋葬に関する法律は土葬を禁じていません。自治体が認可した墓地の区域内で、実際に土葬をしている事例もあります。
検証対象
拡散した言説
2025年10月19日、「土葬って言うのやめませんか?日本では死体遺棄、法律違反ですよ」という投稿が拡散した。
検証する理由
10月21日現在、この投稿は1.4万件以上リポストされ、表示回数は346万回を超える。投稿について「間違いなく日本では死体遺棄ですね」「その通りです!」というコメントの一方で「土葬は禁止されていません」という指摘もある。
宗教的な理由などで土葬を求める人達もおり、議論が広がる中で「違法」という情報は、反対派を中心に拡散する傾向がある。
検証過程
埋葬に関する法律の規定は
墓地や埋葬は「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」で、2条「この法律で『埋葬』とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう」、2条の2「この法律で『火葬』とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう」、4条「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定められている(e-Gov.”墓地、埋葬等に関する法律”)。
つまり、法律で遺体を土中に葬る「土葬」は「埋葬」、葬る際に焼くことを「火葬」と定義されており、土葬は禁じられていない。ただし、墓地以外への「埋葬(土葬)」は禁じられている。
また、この法律は墓地の設定や埋葬には都道府県知事や市町村長の許可が必要だとも定めている(e-Gov.”墓地、埋葬等に関する法律”)。
自治体の判断は
国内には、実際に土葬が実施されている墓地もある。埼玉県本庄市は市内で実施されている土葬についてのQ&Aを公開し、「埋葬方法(土葬)は、墓地の管理者の判断」と説明している。(本庄市.”市内における土葬について”)。
土葬をめぐっては、2025年10月26日投開票の宮城県知事選において、SNSなどで話題となった。6選目を目指す現職の村井嘉浩知事は、2024年の県議会で、土葬可能な墓地整備の検討をしていると発言した。
しかし、村井氏は県民から不安の声が寄せられたことや、市町村長の理解が得られなかったことなどを理由に、今年9月、白紙撤回した。
河北新報が土葬墓地をめぐる動きについてまとめた記事を公開している(河北新報オンライン.”宮城県知事選挙で話題「土葬墓地」検討撤回の経緯って?<かほQチェック>”)。
判定
日本の埋葬に関する法律は土葬を禁じていない。実際に、自治体が認可した墓地の区域内で土葬が実施されている事例もある。よって、不正確と判定した。
出典・参考
e-Gov.”墓地、埋葬等に関する法律”.https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 ,(閲覧日2025年10月23日).
本庄市.”市内における土葬について”.https://www.city.honjo.lg.jp/soshiki/keizaikankyo/kankyosuishin/oshirase/20040.html ,(閲覧日2025年10月23日).
河北新報オンライン.”宮城県知事選挙で話題「土葬墓地」検討撤回の経緯って?<かほQチェック>”.https://kahoku.news/articles/20251018khn000041.html ,(閲覧日2025年10月23日).
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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