日本は農薬使用量が世界一? 国連食糧農業機関の2022年データは16位【ファクトチェック】

日本が農薬使用量世界一だという主張が拡散していますが、誤りです。国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、日本は第16位で、農地面積あたりの農薬使用量は27位です。
検証対象
2025年5月17日、「日本が世界一農薬を使用している」という投稿がXで拡散した。

投稿には「日本が世界一農薬を使用しているのはただの事実だとして、何が問題なの?」や「日本の農地ってアメリカよりも格段に狭いってこと知らないの?」などのコメントがついているほか、「事実誤認です。農地面積あたりの農薬使用量、国あたりの総農薬使用量のいずれも、日本は世界一ではありません」というコミュニティーノートの指摘もある。
検証過程
国連食糧農業機関(FAO)のデータの検索欄に「農薬使用(Pesticide use)」と入力し、すべての国(All Countries)、農業使用(Agricultural Use)、最新の2022年と選んで検索すると、210か国の農薬使用量が表示される。
結果は1位がブラジルで80万0652トン、2位は米国46万7677トン、3位はインドネシア29万4670トンと続き、日本は第16位の5万320トンだ(小数点以下四捨五入、推定値と公表値が混在)。
また、1ヘクタールあたりの農薬使用量が2022年時点で最も多い国・地域は米自治領・北マリアナ諸島で、1ヘクタールあたり36.76kgだった。日本は1ヘクタールあたり11.63kgで、第27位だった。
「日本が世界一農薬を使っている」という誤った情報は繰り返し拡散しており、過去にも日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証して「誤り」と判定している。

判定
日本の農薬使用量は最新のFAOデータで第16位。1ヘクタール当たりの使用量でも27位にとどまる。よって、誤りと判定する。
検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンから。また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報を質問すると、AIが関連性の高いJFC記事をお届けします。詳しくはこちら。