「ガザの子供は極度の飢えから地面の草を食べる」という動画は誤り 2022年から繰り返し世界で拡散【ファクトチェック】
「ガザの子供は極度の飢えから地面の草を食べる」という言説が動画とともに拡散しましたが、誤りです。 2022年から世界で戦争や災害などが起こるたびに繰り返し拡散している動画で、少なくとも2023年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘より前に撮影されたものです。
検証対象
2024年1月15日、「ガザの子供は極度の飢えから地面の草を食べています」という文章と共に、地面に座り込んだ子供が、手に握った草を食べる動画を載せたポストが拡散した。同じ動画は英語でも拡散している。
投稿について「ひどすぎる…」という声の一方、「この映像は2022年以前のシリアのものだそうです」などと指摘する声も見つかる。
検証過程
検証対象ポストの左下の「From」から投稿元の動画がわかる。
ポストの説明をGoogle翻訳すると「これらはアラブとイスラムの裏切りの表れであり、国際共謀のイメージであり、世界の不和と捕らわれからの解放の必要性を物語っています」と書かれている。ガザの映像とは書いていない。
この動画のスクリーンショットで、Google画像検索すると同じ動画を使った投稿が複数見つかる。
このうち一番上に表示されているものを見ると、その投稿日は2022年3月8日。2023年10月以降の武力衝突とは関係がないことがわかる。
「child is eating grass」などとGoogleで検索すると、2022年2月22日のFacebookの投稿や、2022年2月25日の動画、2022年2月26日の動画が見つかる。動画内の説明ではシリアの子供だとされるが、裏付ける証拠は見つからない。
例えば、2022/02/27投稿の動画ではウクライナの子供であるとして投稿されている。
また2022年6月に起きたパキスタンの洪水時にも拡散し、Vishvas Newsというインドのファクトチェック団体が記事を出しており、パキスタンの洪水とは関係がなくミスリードだと判定している。
検証対象の動画がガザのものだとする同様の言説に対して、同じくインドのファクトチェック団体Boomも記事を出し、2022年2月からネット上で拡散しており、ガザとは関係のない動画だと結論づけている。
判定
2022年から世界中で繰り返し拡散されている動画で、2023年10月からの今回のイスラエル・パレスチナでの武力衝突とは直接関係がない。したがって誤りと判定した。
検証：鈴木刀磨、高橋篤史
編集：古田大輔、藤森かもめ、宮本聖二
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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