ファイザーCEOが辞任し、mRNAテクノロジーの安全性は確保されていないと発言した?【ファクトチェック】

ファイザーCEOが辞任し、mRNAテクノロジーの安全性は確保されていないと発言した?【ファクトチェック】

「ファイザーのCEOが突然辞任し、mRNAテクノロジーの安全性は確保されていないと社員から報告を受けたと発言した」というツイートが拡散していますが、誤りです。

検証対象

2022年12月13日、Twitterで「ツイッターがコロナとワクチンに関する情報を大公開すると知ったファイザーのCEOは突然、辞任しmRNAテクノロジーの安全性は確保されていないと、社員から報告を受けたと発言をしています」というツイートが拡散した。

画像

リプライやリツイートには、「ファイザーのCEOは逃げ足早いな~」「日本では報道しないニュース」などのコメントが多く見られる。

12月16日時点で、アカウントには制限がかけられていた。

検証過程

検証対象のアカウントは、当該ツイートにリプライで様々な情報を添付している。その中に元情報とみられる海外アカウントがあり、「ファイザー社CEOのアルバート・ブーラ氏は退任し、現在は、mRNAは使用開始当初は十分にその技術が証明されていなかったと述べている。 ブーラ氏は、彼らに説得されたが、自分自身は確信が持てなかったと言っている。 ブーラ氏はワクチンが安全でないと認めた」(原文は英語)とツイートしている。

海外アカウント「nikola 3」のツイートのリプライ欄に、元動画とみられる動画を共有したリプライがあり、ワシントン・ポストが提供するPOSTLIVEというシリーズ動画の一部であることが分かった。

Youtubeで「POSTLIVE Albert Bourla」で検索したところ、2022年3月11日に投稿されている元動画「アルバート・ブーラ、mRNA技術が効果的なワクチン製造に「直感に反した」理由とは?」が見つかった。

検証対象の動画は、この元動画の1分10秒付近のもの。ファイザー社のブーラCEOが、mRNAワクチンに「直感に反した」のにその開発に進むことになった理由を語っている。内容は、以下の通り。

私たちがこの技術(mRNAワクチン)に取り組んだ経験はわずか2年でした。実際、mRNAは、ワクチンでも他の薬でも、その日まで一度も製品を送り出したことのない技術でした。ですから直感に強く反していましたし、「この方法がいい」と言われたときは驚きました。私は疑問に思い、どうしてそんなことを言うのか、説明を求めました。

彼らはこの方法が正しいと確信していました。2018年から2年間、BioNTechと一緒にインフルエンザワクチンを開発するためにmRNA技術に取り組んできたことで技術が成熟し、今こそ製品を出すべきときだと信じていたのです。私は納得しました。彼らは自分が何を言っているかわかっているという直感に従いました。彼らはとても優秀で、私たちは非常に難しい決断をしたのです。

以上のことから、ブーラCEOは当初は直感に反していたものの、ファイザー社の社員たちを信用し、mRNAワクチンの技術を採用することに納得していたことがわかる。

また、ブーラCEOが退任したという情報はない。ファイザー社広報は日本ファクトチェックセンターからの問い合わせに「弊社の報道関係者向けの情報はこちらの米ファイザー本社公式ウェブサイトで発信しております」と答えている。そのリンクにも、12月26日現在、ブーラCEO退任の情報はない。

ブーラ氏が辞職した、mRNAワクチンに疑問を呈したという同様の言説は海外でも拡散しており、ロイターなどがファクトチェックしている。

判定

以上のことから、「ファイザーのCEOが突然辞任し、mRNAテクノロジーの安全性は確保されていないと社員から報告を受けたと発言した」という言説は誤り。

検証:金子祥子
編集:古田大輔、藤森かもめ

検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも、検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。

X(Twitter)FacebookYouTubeInstagramなどのフォローもよろしくお願いします。またこちらのQRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、真偽が気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

新紙幣の発行後は旧紙幣が使えなくなる?【ファクトチェック】

新紙幣の発行後は旧紙幣が使えなくなる?【ファクトチェック】

2024年7月3日から、新しい日本銀行券(1万円札、5千円札、千円札)が発行され、旧紙幣が使えなくなるという言説が拡散していますが、誤りです。同様の言説は過去にも拡散していますが、一円札以上の旧紙幣は今後も使うことができます。 検証対象 2024年5月6日、新しい紙幣の発行後は旧紙幣が使えなくなり、タンス預金があぶり出されるなどと主張する言説が投稿された。同様の言説はたびたび拡散している。 中には「コンビニのローソン」など、特定の店を名指しする投稿もあった。100万を超える閲覧のある投稿や動画がある。 検証過程 政府は、2024年7月3日に1万円札、5千円札、千円札の新しい紙幣を発行する。20年ぶりだ。 新しい紙幣の発行にともなって、旧紙幣が使えなくなるという言説が繰り返し拡散している。しかし、国立印刷局の特設ウェブサイトは、古い紙幣も引き続き使えると説明している。 サイトによると、1885年に発行された一円札も使うことができるといい、全部で18種類ある。 日本銀行も6月10日、Xの公式アカウントで「従来のお札は、新しいお札が発行された後も、引き

By 宮本聖二
都知事選めぐる誤情報/TikTokをNHKが独自調査/アメリカで偽情報研究拠点に閉鎖報道【今週のファクトチェック】

都知事選めぐる誤情報/TikTokをNHKが独自調査/アメリカで偽情報研究拠点に閉鎖報道【今週のファクトチェック】

東京都知事選が始まり、候補者や報道に関する偽・誤情報が拡散しています。日本でもTikTokで誤情報が拡散していることを調査したNHK報道や、アメリカでの偽情報の研究拠点の閉鎖をめぐる報道などを紹介します。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCのファクトチェック記事 鳥インフルエンザワクチン接種に反対する人は逮捕される? 「世界保健機関(WHO)加盟国が鳥インフルエンザワクチンの接種に反対する国民を逮捕することに合意」という言説が拡散していますが、誤りです。厚生労働省は「合意した事実はない」と否定し、そもそもWHO年次総会でも議論されていません。 鳥インフルエンザワクチン接種に反対する人は逮捕される?【ファクトチェック】「世界保健機関(WHO)加盟国が鳥インフルエンザワクチンの接種に反対する国民を逮捕することに合意」という言説が拡散していますが、誤りです。厚生労働省は「合意し

By 宮本聖二, 古田大輔(Daisuke Furuta)
東京都知事選、NHKニュースで紹介する候補者の順番が不自然?【ファクトチェック】

東京都知事選、NHKニュースで紹介する候補者の順番が不自然?【ファクトチェック】

東京都知事選に関して「NHKがニュースで報じる候補者の順番が不自然」と、一部の候補を贔屓しているかのような言説が拡散しましたが、誤りです。NHKは候補者を届け出順に紹介しています。 検証対象 2024年6月20日に告示された東京都知事選報道をめぐって、NHKのニュースで放送した候補者の演説の順番が不自然だという言説が拡散した。小池都知事が最初で、元参院議員の蓮舫氏が5番目だったことから「発言の印象を弱めるためではないか」と指摘している。 このXの投稿は、6月22日現在38万を超える閲覧がある。「届出順のはずだ」というコメントが数多くついている一方、「人気順でじゃね?」と言った反応もあった。(※この検証記事の公開後、この投稿はお詫びとともに削除されました。2024年6月23日追記) 検証過程 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、20日のNHKニュース7を視聴した。 都知事選のニュースでは、まず立候補者56人全員を顔写真と名前(字幕)で紹介。その後、小池百合子知事の紹介と演説を放送した。名前と三期目を目指すといった7秒間の紹介コメントをつけて、

By 宮本聖二
小池百合子都知事が都議会で自身に批判的な議員を退席させた?【ファクトチェック】

小池百合子都知事が都議会で自身に批判的な議員を退席させた?【ファクトチェック】

小池百合子都知事が都議会で自身に批判的な発言をした議員を退席させたという言説が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。小池都知事に批判的な発言をした都議が委員会で退席を命じられたことは事実ですが、発言の取消しを求める動議について、当事者は議事に参加できないという条例にそった対応です。 検証対象 小池都知事が自身を批判した都議を退席させたという言説が動画とともに拡散している。 2024年6月11日に拡散したX(旧Twitter)上の投稿には動画とともに「小池百合子って都議会でこんなんなんや」「独裁者に刃向かえば退席させられるねんよ」などといったコメントもついていた。 2024年6月20日現在、このポストは1.2万件以上リポストされ、表示回数は65万件を超える。また、TikTokではこの動画が複数のバージョンで拡散している。 検証過程 拡散した動画は57秒に編集されている 添付された動画は57秒間。まず、「3月13日都議会予算特別委員会」の様子として、関口健太郎都議(立憲民主党)が以下のように発言する様子が映っている。 「知事の答弁拒否率は76%」

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)