新型コロナワクチン「KOSTAIVE」はフィンランド語で「復讐」? フィンランド語には存在せず由来は別【ファクトチェック】

新型コロナワクチン「KOSTAIVE」はフィンランド語で「復讐」? フィンランド語には存在せず由来は別【ファクトチェック】

「新型コロナワクチンの名前『KOSTAIVE(コスタイベ)』はフィンランド語で『復讐』という意味」という言説が拡散しましたが、誤りです。フィンランド語に「kostaive」という単語は存在せず、「新型コロナを押さえ込む」という英語が由来です。

検証対象

2024年9月19日、「コスタイベ(KOSTAIVE)→明治製菓ファルマの新型コロナワクチン/KOSTAIVE→フィンランド語で「復讐」という意味だそうで」という文言と、Google翻訳の画面を写したとみられる動画を添付した投稿が拡散した。この投稿は9月27日現在、37万回以上の閲覧回数と2400件以上のリポストを獲得している。

検証過程

新型コロナワクチンの定期接種で、これまでのmRNAワクチンに改良を加えたMeiji Seikaファルマのレプリコンワクチンの接種が2024年10月から新しく始まる。

このワクチンの販売名が「コスタイベ筋注用」でアルファベットでは「KOSTAIVE」と表記される(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)。

AI翻訳ツールはフィンランド語として翻訳

Google翻訳で「kostaive」を翻訳したところ、「kostaive」をフィンランド語だと自動検出して日本語では「復讐」だと訳した。英語でも「revenge(復讐)」と訳した。

AI翻訳ツールDeepLでは「kostaive」をフィンランド語だと検出したうえ、英語で「costaive」、日本語で「コスティブ」と訳した。翻訳した「costaive」や「コスティブ」という言葉をそれぞれGoogle検索したが、そのような言葉は英語ではヒットせず、日本語ではデザインの名称や外国の人名がヒットした(検索結果1検索結果2)。

AI翻訳ツールの精度は向上しているが完璧ではない。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、フィンランド語に詳しい東京外国語大学非常勤講師の石井晴奈さんに取材した。

フィンランド語に「kostaive」という単語はない

石井さんによると、フィンランド語に「kostaive」という単語は存在しない。「語形から見て、フィンランド語特有の特徴があるとは言えません」と説明する。

フィンランド語では「復讐」は「kosto」、「復讐する」は「kostaa」。「kostaiveと共通する音(kost-/kosta-)が含まれていますが、kostoやkostaaが語形変化によってkostaiveとなることはありません」と話す。

フィンランド語辞典(大学書林)には「kostaive」はなく、「kosto」は「復讐」という名詞、「kostaa」は「復讐する、仇をうつ」という動詞が掲載されている。

由来は「Stave off Covid コロナを押さえ込む」

JFCは、次世代mRNAワクチン「コスタイベ筋注用」を日本で製造するMeiji Seikaファルマに問い合わせた。

Meiji Seikaファルマによると、「コスタイべ」とは「COVIDを押さえ込む」という意味の英語である「Stave off COVID」が由来だといい、このワクチンについて全世界での権利を持つオーストラリアCSL社が命名したとのことだった。

判定

「新型コロナワクチンの名前「KOSTAIVE(コスタイベ)」はフィンランド語で「復讐」という意味」は誤り。フィンランド語に「kostaive」という単語は存在しない。「COVIDを押さえ込む」という意味の「Stave off COVID」が由来。

検証:リサーチチーム、​宮本聖二
編集:古田大輔、藤森かもめ

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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