北海道〜東北でM5.2〜6.0の地震に注意? 日時や場所を特定した予知は不可能【ファクトチェック】
具体的な地名や震度を挙げて「地震に注意」などと投稿するアカウントが存在しますが、科学的に信頼性のある地震予報ではありません。専門家によると、日付や場所を正確に特定する地震予知は、現代の科学では不可能です。
検証対象
検証する投稿
2026年1月7日、東北から北海道にかけて赤枠で囲った画像とともに「マグニチュード5.2〜6.0の地震に注意」という投稿が拡散した。

検証する理由
1月14日現在、この投稿は400件以上リポストされ、表示回数は57万回を超える。投稿について「また近いうち揺れるのかい」「またかよ」というコメントの一方で「この手の投稿でおおズバリ当たったなというのを見たことがない」という指摘もある。
投稿したアカウントは「地震予知」を繰り返しており、こういった情報に影響を受けているコメントも散見される。
検証過程
ピンポイントの地震予知は「できません」
JFCは過去にも日時や場所を特定する地震予知について検証し、誤りと判定している。2025年12月には、東京大学地震研究所/情報学環・学際情報学府の酒井慎一教授による解説記事も公開している。
JFC.”地震のたびに拡散する「人工地震説」や「地震予知」は何が間違っているのか 専門家が解説”
酒井教授は、ピンポイントの地震予知について、科学的な根拠は無いと否定し、以下のように回答している。
(以下、引用)
Q「30年以内に地震が発生する確率は何十%」といった長期的な予測は政府も公表します。一方で、大きな地震が起きると「巨大地震は予知されていた」とか「次の地震は〇月〇日」など、日付や場所を特定した「予言」が拡散します。このようなピンポイントの地震予知は現代の科学で可能なのでしょうか。
できません。地震のメカニズムは、今でも多くのことが分かっていません。多くの人はプレート(岩盤)同士が押し合い、跳ね返ったり壊れたりして地震が起こると考えていますが、実際はもっと複雑です。地震は地下にある断層面にそって、岩盤同士が急激にズレることで起こります。断層面はでこぼこしており、触れ合っている岩盤と岩盤が摩擦力で固着しているから、普段は動きません。でも岩盤に力が働いてひずみエネルギーが溜まると、岩盤同士の摩擦力がそのひずみエネルギーに耐えられなくなって、断層面が急激に滑り出す。それが地震です。

酒井教授の説明をもとにJFCがAIで作成
断層面の固着状態は、ひずみエネルギー以外の影響も受けます。たとえば、断層面に水のような流体が入ると断層面が浮いて摩擦力が小さくなり、同じ力でも動きやすくなります。地震の発生は、ひずみエネルギーの増大だけでなく、断層面の固着状態も大いに影響することになります。そのため、地震を予知しようと思ったら、断層面の状態を詳しく確認する必要があります。でも断層面は、地下何十キロという深いところにあるため、今の技術では認知できません。
地下の状況を把握するのは、宇宙より難しいと言われています。火星なら表面を見られるし、物質を採取もできます。けれども、地下は、人類がこれまでに一番深く掘ったロシアのコラ半島超深度掘削坑でも、約13km。温度や圧力などの問題で、それ以上掘るのは難しいのです。
(引用ここまで)
M5.2~6.0の地震は22日間で7回
日本は地震が頻発する。ソーシャルメディア上では「予知があたった」と喧伝するような投稿も見られるが、ある程度の地域と震度だけであれば、偶然あたる可能性はある。
例えば、拡散した投稿には「マグニチュード5.2〜6.0の地震に注意」とある。マグニチュードとは、地震の規模を表す単位で、M5.2〜6.0の地震は、気象庁のサイトによれば、2026年に入ってから22日間で、7回ほど観測されている(気象庁.”気象庁 | 地震情報”)。
JFCの問い合わせに回答なし
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、検証対象を投稿したXアカウント「海地震予測所」に問い合わせた。
1月14日に「今回の『M5.2〜6.0』および『対象地域』を特定した具体的な根拠は何か」「独自の解析手法がある場合、それは第三者が検証可能なデータとして公開されているか」などの質問に対して、1月22日現在回答はなく、アカウントは発信を続けている。
判定
地震予知は現代の科学ではできない。また、JFCは発信者に予測方法などについて問い合わせたが、回答はないまま発信を続けている。よって「マグニチュード5.2〜6.0の地震に注意」という投稿は、科学的な予報とは言えず、誤りと判定した。
あとがき
地震はいつ発生するか分からないため、日頃の備えは重要です。しかし、SNSなどでは「何日の地震に注意」といった投稿を繰り返し、当たった場合だけ強調して発信するアカウントが多数存在しています。
科学的に信頼性のある情報ではないため、不安を募らせないようにしつつ、災害への備えに取り組みましょう。
出典・参考
気象庁.”気象庁 | 地震情報”.https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/index.html?lang=jp&fbclid=IwAR37GoD6nVdikiBlp0RXnlMKSmZN-Eae0RZzLqj3sFdaKcOk4jkcbVaFUfk ,(閲覧日2026年1月22日)
検証:木山竣策
編集:古田大輔、藤森かもめ
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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