西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

西田発言から考える「切り取り」による歪曲とは 全文や出典を示す重要性【解説】

政治家の発言などが物議を醸すたびに、逆にそれを報じたマスメディアに浴びせられるのが「切り取り報道」という批判です。しかし、誰かの発言を伝えるときに、文字数などの制限から全文ではなく一部を引用するのは一般的です。問題は切り取りで発言の意味が変わるか。2025年5月に話題になった自民党の西田昌司参院議員の沖縄に関する発言を例に、批判に対してメディアが取れる対策を解説します。

意味を歪曲する「切り取り」の事例

まず、恣意的で発言の意味を歪曲する「切り取り」の事例を紹介します。これは偽・誤情報を作る手法として、一般的なものです。

佐藤正久・参院議員の「JAL123便は自衛隊が撃墜」発言?

2025年4月、自民党の佐藤正久参院議員が「日航機墜落は自衛隊の誤射によるものと発言した」という投稿が拡散しました。

佐藤氏が参議院外交防衛委員会で「自衛隊の標的機がJAL123便を撃墜してしまった」と発言したことは事実です。しかし、これは根拠なき陰謀論を書いている本があることを紹介するための発言で、佐藤氏は続けて「自衛隊への名誉棄損だ。拡散を止める具体的な手立てを」と述べています。

つまり、発言の前半部分だけを切り取ることで、佐藤氏の「自衛隊JAL123便を撃墜したという誤情報の拡散を止めたい」という発言意図とまったく逆の意味の発言にしています。これは恣意的で意味を歪曲する「切り取り」と言えます。

詳細は日本ファクトチェックセンター(JFC)による検証記事”佐藤正久・参院議員「JAL123便は自衛隊が訓練中に誤って撃墜」と発言? 恣意的な切り取り【ファクトチェック】”を御覧ください。

佐藤正久・参院議員「JAL123便は自衛隊が訓練中に誤って撃墜」と発言? 恣意的な切り取り【ファクトチェック】
参院議員・佐藤正久氏(自民)が「1985年のJAL123便墜落事故は、自衛隊が訓練中に誤って撃墜したために起きた」と主張しているとの情報が拡散しましたが、誤りです。検証対象の添付動画で佐藤氏が読み上げているのは、事故に関する書籍で、佐藤氏自身の見解と正反対の内容です。 検証対象 2025年4月16日、「1985年のJAL123便墜落事故は、自衛隊が訓練中に誤って撃墜したために起きた」「証拠を隠滅した疑惑がある」という趣旨の投稿がXで拡散した。 投稿には「ついに国会で元自衛隊幹部が重い口を開きました」という文言とともに、佐藤氏が「自衛隊の標的機がJAL123便を撃墜してしまった」などと話す英訳つきの動画が添付されている。 2025年4月21日現在、投稿は1300回以上リポストされ、表示回数は46.5万回を超える。投稿には、「聞き覚えのある話やな」「初期に言われていたことだよ」などのコメントのほか「極めて悪質な切り抜き加工動画ですね」という指摘も寄せられている。 検証過程 日航機(JAL123便)墜落事故とは 日航機墜落事故とは、1985年8月12日

小泉進次郎氏が「消費増税を主張」?

2025年5月に拡散した自民党の小泉進次郎衆院議員が「消費増税を提案した」というショート動画はさらに手が込んでいます。

動画では小泉氏が「消費税上げさせてください」「11%以降の消費増税が」「こんなにワクワクする世界ないと思いますね」などと語っています。動画を見ると、長い発言を細かく切り貼りして編集していることがすぐに分かります。

これは2017年6月の記者会見を切り貼りしたもので、実際は増税を主張していません。「切り取り」を超える「切り貼り」と言えます。

"小泉進次郎氏が消費増税を主張?恣意的な切り張り【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター.

小泉進次郎氏が消費増税を主張?恣意的な切り張り【ファクトチェック】
自民党の小泉進次郎・農林水産大臣が消費増税を主張したかのような動画がXやYouTube、TikTokなどで拡散しましたが、誤りです。2017年の記者会見映像を恣意的に切り張りしたもので、元動画では、小泉氏はそのような発言はしていません。 検証対象 2025年5月5日、農林水産大臣・小泉進次郎氏(自民党)が「消費税上げさせてください」「11%以降の消費税、こんなにワクワクする世界ないと思いますね」などと話す動画がXで拡散した。動画には「小泉進次郎 消費税15%待ったなし!」などの言葉も書き添えてある。 2025年5月23日現在、投稿は1万回以上リポストされ、表示回数は529万回を超える。投稿には「売国奴は必ず落選させないと」「誰かに言わされてるんだろうが、完全にアウト」などのコメントの一方で、「編集?」「ひでえ切り取りだな」という指摘もある。 検証過程 動画は恣意的な切り張り 拡散した動画は計45秒で、短いカットをつなぎ合わせて編集している。動画の中での小泉氏のコメントを文字起こしすると、次の通りだ。 「大変申し訳ないですけど」「消費税上げさせてく

これらの事例は、本人たちの発言の意図とまったく異なる内容にしているという点で「悪質な切り取り」と批判されて然るべきです。

西田発言の「切り取り」は恣意的なものだったか

沖縄タイムスはどう報じたか

問題となった発言は、憲法記念日の5月3日に那覇市内で開かれたシンポジウムでのものです。翌日4日に報じた沖縄タイムスの記事から、西田氏の発言部分を引用すると、次の通りです。

<以下、沖縄タイムスの記事より>
自民党の西田昌司参院議員が講演し、過去に見学した糸満市のひめゆりの塔の展示内容を挙げ「ひどい。歴史の書き換えだ」と述べた。
西田氏は戦後の教育は間違っており「でたらめだ」と主張。「何十年か前にひめゆりの塔を訪れ説明を読んだが、日本軍が入ってきてひめゆり(学徒)隊が死んだ。そして米国が入ってきて沖縄が解放されたとの文脈で書かれていた」と話した。
その上で、旧日本軍を念頭に「亡くなった方は救われない。歴史を書き換えられるとこういうことになってしまう」と発言した。
また、「沖縄の地上戦の解釈はかなりむちゃくちゃな教育になっている」とも言及。「自分たちが納得できる歴史をつくらないといけない」と訴えた。
<引用終了>

“ひめゆりの塔の展示は「ひどい。歴史の書き換えだ」自民・西田議員が発言 憤る平和資料館「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる」”. 沖縄タイムス.

ひめゆりの塔の展示は「ひどい。歴史の書き換えだ」自民・西田議員が発言 憤る平和資料館「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる」 | 沖縄タイムス+プラス
神道政治連盟県本部と県神社庁、日本会議県本部でつくる実行委員会は憲法記念日の3日、那覇市内でシンポジウムを開いた。自民党の西田昌司参院議員が講演し、過去に見学した糸満市のひめゆりの塔の展示内容を挙げ「ひどい。歴史の書き換えだ」と述べた。 西田氏は戦後の教育は間違っており「でたらめだ」と主張。

この報道に続いて、多くの新聞やテレビなどが西田氏の発言を同じように報道し、批判は全国に広がっていきました。

西田氏「切り取られた記事が誤解生んだ」

これに対し、西田氏は5月7日に参院議員会館で記者会見を開き、以下のように報道を逆批判しました。

「私の発言で県民や関係者を傷つけたというような報道になっているのは私の意図とは無関係で、切り取られた記事が誤解を生み、非常に遺憾だ」

この発言を受けて、SNS上では「切り取りで印象操作」「サヨクの切り取り工作」「マスコミによる恣意的な切り取り」などの反応も出ました。

発言全文も報道された

琉球放送(RBC)は西田氏の発言映像(2分47秒)を5月7日にノーカットで公開し、正確に文字起こしもしています。ひめゆりの塔や沖縄の歴史教育に触れた部分は以下の通りです。

「こういう間違ってきた戦後の教育とかね、このデタラメなことをやってきたというのをやらなきゃいけない」
「特に沖縄の人に私はお願いしたいのはですね、かつて私もなんかひめゆりの塔ですかね。なんか何十年か前ですね、まだ国会議員になる前でしたけれども、お参りに行ったことあるんですけれども。あそこ、今どうか知りませんけどひどいですね」
「あのひめゆりの塔で亡くなった女学生の方々がね、たくさんおられるんですけれども、あの説明のしぶり、あれを見ていてると、要するに日本軍がね、どんどん入ってきて、ひめゆりの隊がね、死ぬことになっちゃったと。そして、アメリカが入ってきてね、沖縄は解放されたと」
「そういう文脈で書いてるじゃないですか。あそこは。そうするとね、あれで亡くなった方々、本当に救われませんよ、本当に。だから歴史を書き換えられるとこういうことになっちゃうわけですね。そして、沖縄の中では今の知事さんもおられますけれどもね、そういう話では、結構それなりの市民権を持っているわけですよ」

“【ノーカット】 “ひめゆり”は「歴史の書き換え」 自民党・西田昌司参院議員発言の全容と真意は 独自映像”. RBC.

【ノーカット】 “ひめゆり”は「歴史の書き換え」 自民党・西田昌司参院議員発言の全容と真意は 独自映像 | 沖縄のニュース|RBC 琉球放送 (1ページ)
自民党の西田昌司参院議員が、ひめゆりの塔を訪れた際に目にした沖縄戦に関する説明について、「歴史の書き換え」などと主張している件で、RBCは、発言があった憲法講演会を映像収録している。批判が広がっている… (1ページ)

沖縄タイムスも発言要旨として、5月4日の段階でほぼ全文を掲載していました。RBCの映像とも一致する内容です。

“ひめゆりの塔展示を「歴史の書き換え」と発言 西田参院議員の発言要旨”. 沖縄タイムス.

ひめゆりの塔展示を「歴史の書き換え」と発言 西田参院議員の発言要旨 | 沖縄タイムス+プラス
神道政治連盟県本部と県神社庁、日本会議県本部でつくる実行委員会が3日に那覇市内で開いたシンポジウムで、自民党の西田昌司参院議員が過去に見学した糸満市のひめゆりの塔の展示内容を挙げ「ひどい。歴史の書き換えだ」と述べた。 西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」に関する発言は以下の通り。

沖縄タイムスの引用部分との比較

沖縄タイムスの初報記事の引用部分を並べてみます。

・ひめゆりの塔の展示内容について(カギカッコの中が沖縄タイムスの引用)
「ひどい。歴史の書き換えだ」

・戦後の教育について
「でたらめだ」「何十年か前にひめゆりの塔を訪れ説明を読んだが、日本軍が入ってきてひめゆり(学徒)隊が死んだ。そして米国が入ってきて沖縄が解放されたとの文脈で書かれていた」

・歴史について
「亡くなった方は救われない。歴史を書き換えられるとこういうことになってしまう」「沖縄の地上戦の解釈はかなりむちゃくちゃな教育になっている」「自分たちが納得できる歴史をつくらないといけない」

これらは上記の全文文字起こしと比較して、話し言葉の一部を補うなどして読みやすくする修正はされていますが、発言の意味が変わるような切り取りではないことがわかります。

切り取りによる誤解が「県民を傷つけた」のか

沖縄タイムスの最初の記事に西田氏の発言全文を入れるとすると、かなりの長文になり、読みにくくなってしまいます。発言の意味が変わらないように適切な箇所を切り取って記事にまとめるのは、読みやすく書くための必須の作業です。

西田氏は5月7日の会見で「私の発言で県民や関係者を傷つけたというような報道になっているのは私の意図とは無関係」と述べています。確かに、沖縄県で開かれたシンポジウムで発言した西田氏自身には、県民や関係者を傷つける意図はなかったでしょう。

その意味で、西田氏は自分自身の意図とは違う形で報道されたという意味で「切り取られた」と発言したのかもしれません。

ただ、報道で特に問題視されたのは、西田氏が「何十年か前に行ったことがあるけれど」というあいまいな記憶に基づいて発言をしている部分です。

沖縄タイムスは初報の段階でひめゆり平和記念資料館に取材し、「塔や資料館には西田議員が発言したような記述はない」と確認している。

記事の中で普天間朝佳館長は西田氏の「歴史の書き換えだ」という発言を「資料館の展示は体験者の話がベース。沖縄戦を体験した県民や、ひめゆり学徒隊の過酷な体験を否定する発言だ」と述べています。

"「体験を否定」憤る ひめゆり館長". 沖縄タイムス.

「体験を否定」憤る ひめゆり館長 | 沖縄タイムス+プラス
自民党の西田昌司参院議員が過去に訪れたひめゆりの塔の展示を「歴史の書き換えだ」などと発言したことに、ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる発言だ」と憤った。 普天間さんによると、塔や資料館には西田議員が発言したような記述はないという。

報道によって発言が切り取られて誤解されたから県民が傷ついているのではなく、西田氏の発言自体が県民を傷つけていることがわかる内容です。

西田氏は5月9日に改めて記者会見を開き、以下のように謝罪している。

「丁寧な説明なしにこのひめゆりの塔の名前を出して講演したたこと自体、非常に不適切であったことを痛切に感じました。そこでまずはそのことにつきまして、沖縄県民またひめゆりの塔の関係者の皆様方にお詫びを申し上げると同時に、私が発言したところは、訂正削除させていただきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」

【冒頭全文公開】自民・西田参院議員「ひめゆり発言」訂正会見(上). 琉球新報.

【冒頭全文公開】自民・西田参院議員「ひめゆり発言」訂正会見(上)
【冒頭全文公開】自民・西田参院議員「ひめゆり発言」訂正会見(上) - 琉球新報デジタル

全文公開があってこそユーザーも確認できる

今回、筆者(古田)がこのような解説記事を書けるのは、RBCや沖縄タイムスなどが西田氏の発言全文や要旨を公開しているからです。これがなければ、西田氏の切り取り批判が正当かそうではないかは検証できませんでした。

JFCによる佐藤氏や小泉氏の発言のファクトチェック記事も、発言の元動画がインターネットに残っているから、検証が可能だった事例です。

マスメディアへの信頼が低下している中で「記事に書かれていることだけで信じろ」という態度では、記者や視聴者はついてきません。新聞紙面や地上波の番組では全文を紹介する余裕がなくても、ウェブサイト上では公開するような取り組みがますます重要になってくるでしょう。

JFCではファクトチェックの信頼性や透明性を高めるため、検証の参考にした資料には可能な限りリンクを貼り、最近では記事末尾に出典や参考文献表をつけるようにしています。

“緊急避妊薬が市販されると同意を得ずに中絶させることができる? 経口中絶薬とは別の薬【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター.

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実際にそこまで調べる人が少ないにしても、疑問を持った読者や視聴者が自ら調べることをサポートするような発信こそが、記事の価値を高め、信頼にもつながると考えています。読者や視聴者は、メディアからの情報を一方的に受け取る存在ではなく、情報を活用する「ユーザー」だからです。

5月7日に西田氏が「切り取りだ」と反論した際に、X上ではRBCの全文公開にリンクを貼って沖縄タイムスなどの記事の方が正確だと再反論するユーザーが大勢いました。デジタル時代の報道には、自ら発信するだけではなく、ユーザーの発信の根拠になることが求められています。

出典・参考

“佐藤正久・参院議員「JAL123便は自衛隊が訓練中に誤って撃墜」と発言? 恣意的な切り取り【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター. 2025年4月21日https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false_jal123_sdf_misattributed/. 閲覧日2025年5月28日.

"小泉進次郎氏が消費増税を主張?恣意的な切り張り【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター. 2025年5月23日 https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false-shinjiro-for-higher-taxes/ 閲覧日2025年5月28日.

“ひめゆりの塔の展示は「ひどい。歴史の書き換えだ」自民・西田議員が発言 憤る平和資料館「沖縄戦体験者の思いを踏みにじる」”. 沖縄タイムス. 2025年5月4日.  https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1577049. 閲覧日2025年5月28日

“【ノーカット】 “ひめゆり”は「歴史の書き換え」 自民党・西田昌司参院議員発言の全容と真意は 独自映像”. RBC. 2025年5月7日. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rbc/1898522.閲覧日2025年5月28日

“ひめゆりの塔展示を「歴史の書き換え」と発言 西田参院議員の発言要旨”. 沖縄タイムス. 2025年5月4日. https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1577147閲覧日2025年5月29日.

"「体験を否定」憤る ひめゆり館長". 沖縄タイムス. 2025年5月4日. https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1577121. 閲覧日2025年5月29日.

【冒頭全文公開】自民・西田参院議員「ひめゆり発言」訂正会見(上). 琉球新報. 2025年5月10日. https://ryukyushimpo.jp/news/politics/entry-4218278.html. 閲覧日2025年5月29日

根津綾子. “緊急避妊薬が市販されると同意を得ずに中絶させることができる? 経口中絶薬とは別の薬【ファクトチェック】”. 2025年5月27日. https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/health/false-after-pill-abortion-without-consent/. 閲覧日2025年5月28日.


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