ユースファクトチェック選手権 国際大会上位を台湾チームが独占

ユースファクトチェック選手権 国際大会上位を台湾チームが独占

中高生から大学生を対象に、情報検証スキルを競うオンラインイベント「ユースファクトチェック選手権(英語名:Youth Verification Challenge)」で、各国の国内大会を勝ち抜いた計20チームが競う国際大会が12月14日、開催されました。

日本、台湾、タイ、インドネシアから参加 優勝は

参加したのは、日本、台湾、タイ、インドネシアの全417チーム1000人を超える参加者の中から各国内大会を勝ち上がった20チーム(1チーム2−3人)。5つの課題の計7つの質問に答えました。

結果は上位3チームをいずれも台湾の国立台湾大学からのチームが独占しました。

国際大会の問題は 場所の特定やAI画像の検証など

国際大会では国内大会よりも複雑な検証作業が必要な問題が増えました。3−4分の限られた時間で、高度な検索手法や画像検索、Googleマップなどを使って、動画から場所を特定したり、記事中の誤りなどを検証する作業です。

私達が実際の生活でスマートフォン等で情報を収集する際も、毎回、何十分もかけて情報を検証することはできません。じっくりと吟味する姿勢を学ぶことは重要ですが、同時に、効率的に間違いを見つける能力も不可欠です。

実際の問題の例はこちらです。

5つの団体による共催 2025年も開催へ

YVCは2021,2022年にGoogle News Initiative(GNI)が開催したイベントが前身で、今回、ファクトチェックやメディアリテラシーに取り組む5つの団体が協力して、国際イベントとして復活しました。

日本:日本ファクトチェックセンター、Classroom Adventure
台湾:台湾ファクトチェックセンター
タイ:Cofact
インドネシア:AJI

各国でプレイベントを実施して、まずはファクトチェックの技術を学んでもらい、腕試しの場所として国内大会・国際大会で実践してもらうことで、技術を定着させるという取り組みです。

日本でのプレイベントや国内大会の模様はこちらを御覧ください。2024年大会の成功を受けて、2025年は規模を拡大して実施する計画です。

情報の検証力競う「ユースファクトチェック選手権」、日本で初開催 大学生ら5チームが世界大会へ
中高生から大学生を対象に、情報検証スキルを競うオンラインイベント「ユースファクトチェック選手権(英語名:Youth Verification Challenge)」が、日本で初開催されました。日本ファクトチェックセンター(JFC)と学生スタートアップClassroom Adventureが共催し、全国から60チーム約150人が参加しました。 ファクトチェックとリテラシーを実践的に学ぶ 選手権は日本、台湾、タイ、インドネシアのファクトチェック団体が共同で企画した国際的な取り組みで、参加者はネット上の情報を効率的かつ正確に検証する技術を学び、それを実践する課題に挑戦しました。 日本では、11月23日にプレイベントとして、ネット上の情報を効率的に探す「高度な検索」や、画像・動画の検証ツールの利用法や位置情報の特定技術(ジオロケーション)などについて学ぶセミナーを実施しました。 また、Classroom Adventureが開発した謎解きゲーム「レイのブログ」で実際にこれらの検証手法を使ったゲームに取り組みました。 検索やジオロケーションなど情報検証力を競う 11月30日に本選

2025年大会の募集やその他のイベントなどは、JFCニュースレターでお知らせします。無料ですので、ぜひご登録ください。

視点:なぜ台湾チームが強かったのか(古田大輔)

筆者(古田)はGoogle News Initiative(GNI)でこのイベントを立ち上げたメンバーの一人です。2021年の第1回大会では日本からのチームが1、2位を獲得し、他国のメンバーから驚かれました。

今回は上位3チームを台湾が独占する形になりましたが、これは日本の学生のファクトチェック能力が落ちたというよりも、台湾や他国の学生の能力が上がったと見るべきでしょう。

プレイベントや日本国内大会で参加者たちが見せた検証能力は、2021年の参加者たちよりも上がっていました。偽・誤情報問題の拡大とともに、危機感や検証技術やツールも発達したからです。

私はGNIで働いていた頃から、検証技術の教育活動を始めましたが、教え方自体も進化しています。共催した学生スタートアップClassroom Adventureのようにゲームを用いて楽しみながら学ぶ手法も発達しました。

今回の結果は、日本以上に台湾の学生の能力の向上が早いということでしょう。台湾は中国からの影響工作があり、偽情報・誤情報対策が発達しています。官民挙げたメディアリテラシー普及の取り組みでも知られています。

中国からの偽情報対策、TikTokの不自然なデータ 台湾大臣「選挙に影響」
中国からの情報工作に神経を尖らせる台湾では、ファクトチェック、メディアリテラシー、法的なルール設定など包括的な誤情報/偽情報対策に取り組む。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、政府で偽情報対策を包括的に担当する羅秉成(ロウ・ピンチェン)無任所大臣に話を聞いた。 選挙への偽情報の影響「多くは中国から」 ──台湾総統選は世界的な関心を集めました。特に偽情報の拡散と中国からの影響への注目が高かったですが、実際にはどのような影響があったのでしょうか。 「明確な指標を示すのは難しいが、私たちは偽情報が選挙にある程度影響したと分析しています。その多くは中国からです」 ──具体的なデータはありますか。 「様々なデータがありますが、例えば、(民間研究機関の)台湾AIラボがTikTokについて分析したところ、中国に関連して拡散した主なコンテンツの62%が中国に対して好意的で中国による台湾統一を肯定する内容でした。逆に台湾に言及するコンテンツの95%が否定的で、民進党が台湾を破滅させるなどのものでした。次期総統に選ばれた民進党の賴清徳(ライチントー)氏に対しては67%

一方で、日本は様々な調査で世界の中でもファクトチェックやメディアリテラシー教育の普及が遅れていることが明白になっています。

日本は米・韓より「偽情報にだまされやすい」、事実確認をしない人も多く…読売3000人調査(読売新聞)

日本は米・韓より「偽情報にだまされやすい」、事実確認をしない人も多く…読売3000人調査
【読売新聞】 デジタル空間の情報との向き合い方を調べるため、読売新聞が日米韓3か国を対象にアンケート調査を実施した結果、米韓に比べ、日本は情報の事実確認をしない人が多く、ネットの仕組みに関する知識も乏しいことがわかった。日本人が偽情

フェイクニュースに弱い日本 確認法「知る」2割どまり(日経新聞)

フェイクニュースに弱い日本 確認法「知る」2割どまり チャートは語る - 日本経済新聞
民主主義を支える正確な情報。その基盤を脅かすフェイクニュース(偽ニュース)に日本の備えが乏しい。日本経済新聞などの調査で、情報の真偽を確認する「ファクトチェック」の手段を知る人の割合はアジア主要国で最下位に沈んだ。監視機関も海外に比べて少ない。人工知能(AI)の普及で、ネット上には本物と見分けのつかない画像もあふれる。対策の強化が急がれる。この2月、ベネズエラで数百万人が休暇中に旅行に出かけた

偽・誤情報問題は今後も深刻さを増していきます。特に生成AIの発達は脅威です。画像や動画や音声の捏造はより簡単に・巧妙に・大量になっていきます。

日本ファクトチェックセンターは、日々のファクトチェックの実践と同時に、ファクトチェック講座ファクトチェッカー認定試験講師養成講座、そして今回のイベントなどの教育事業にも取り組んでいます。ぜひ、活用してください。


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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御堂筋線の看板から韓国語と中国語がなくなった? 繰り返し拡散する誤情報【ファクトチェック】

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大阪の地下鉄御堂筋線の看板から韓国語と中国語がなくなったという情報が拡散しましたが誤りです。画像は梅田駅の看板ですが、もともと日本語と英語表記のみでした。繰り返し拡散する誤った情報です。 検証対象 拡散した投稿 2025年12月10日、「大阪梅田の御堂筋線 韓国語と簡体語(中国語)が無くなりスッキリ見やすくなりましたか?」という画像付き投稿が拡散した。 画像には「梅田・新大阪・江坂・箕面萱野方面」と日本語と英語で書かれた看板が写っている。 検証する理由 12月15日現在、この投稿は2400件以上リポストされ、表示回数は51万回を超える。投稿について「やったね大阪メトロ」「公明党の国交大臣いなくなったため」というコメントの一方で「これまでも2か国語表記だったことに注意が必要です」というコミュニティノートがついている。 検証過程 画像は御堂筋線のなんば駅上りホーム 拡散した投稿には「大阪うめだの御堂筋線」と書かれているが、画像は御堂筋線のなんば駅だ。看板の後ろにローソンと電車が写っており、御堂筋線のローソンを検索すると、大阪メトロ内のローソン

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
沖縄の若者の半数以上が自分を「琉球人」だと考え、日本人だと思っていない? 根拠とされる調査が存在せず【ファクトチェック】

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18~35歳の沖縄県民の半数以上が自分は「琉球人」だと考え、日本人だと思っていないと主張する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。根拠とされた「ロイター通信とNHKが2025年7月に実施した合同世論調査」は存在しません。 検証対象 拡散した言説 2025年12月2日、「【中国国際放送局】琉球は日本の固有の領土などではない、18~35歳の半数以上が自らを『琉球人』と自認し、日本人とは考えていない」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 12月15日現在、投稿は166回リポストされ、表示は15.1万件を超える。 投稿には「琉球人なんて沖縄県民から聞いたこともない」「沖縄に長らく住んでいたが、自らを琉球人だと言う人に会った事は一度もない。完全に作り話」などの指摘もあるが、「中国に行ってそんな説明をデニーがやってんのかな」「中国国際放送局wあ〜あんたらの中ではそうなんでしょうね」など、投稿を真に受けた反応も多い。 検証過程 投稿はまとめサイト 参照元はCGTNの記事 検証対象の投稿には、まとめサイト「エックス速報」の記事へのリンクがある。そのタイ

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ファクトチェックの世界大会で日本チームが優勝!/JFC検証5本など【今週のファクトチェック】

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昨年に続いて、若者層を対象に情報検証スキルを競う「ユースファクトチェック選手権」2025の世界大会を12月13日に開催しました。 日本、台湾、タイ、インド、モンゴルの国内大会を勝ち上がった各5チーム(1チーム2~3人)が検索力やGoogleマップなどを駆使して、記事に隠された誤情報やAIによるディープフェイクなどの検証クイズに挑み、日本から参加したチーム「YAYO-SAN」が、昨年上位を独占した台湾からのチームを抑えて優勝しました! この大会はアジア地域のファクトチェック団体などで連携して開催をしています。日本では我々、日本ファクトチェックセンターと学生スタートアップでメディア情報リテラシー教育の普及に取り組む学生スタートアップClassroom Adventureで共同で運営しています。 Classroom Adventureを設立した学生たちは2022年、Googleが実施していたこの選手権の前身の大会に参加していました。私(古田)は当時、Google News Labで働いていて運営側にいたので、彼らとの共催は、とても感慨深いです。 今週のファクトチェックで紹

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
地震発生後に大量の生成AI動画、「ディープフェイク」は一般化 透かしや細部の確認など見分け方のコツも解説【ファクトチェック】

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2025年12月8日に青森県八戸市で震度6強を観測した地震で、生成AIで作った「ディープフェイク」動画がTikTokなどで多数拡散しました。災害など注目を集める話題には、ディープフェイクが拡散することが一般的になっています。AI生成特有の透かしや関連情報の確認が必要です。 地震直後から拡散した大量の「ディープフェイク」 生成AIで作られた画像や動画を「ディープフェイク」と言う。12月8日に青森県東方沖で地震が発生すると、その直後からTikTokなどSNSで被害を訴える動画や、ニュース速報のように見せた動画が多数投稿された(例1、例2、例3)。 動画では、津波の高さが最大3mだと伝えるものや、建物が崩落したり、地面がひび割れたりする映像が映っている。投稿したアカウントには、国内からのものだけでなく、海外からのものもある。 これらの投稿に関して「ああ、なんてことだ」「深刻だ」など事実と受け取っているコメントも付いている。 AIで作ったことを示す「透かし」 これらの動画の一部には「Sora」という透かし文字が画面上に表示されている。 Soraは、Open

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ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は12月20日(土)午後2時~3時30分で、お申し込みはこちら。 https://jfcyousei1220.peatix.com 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にどのような知

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理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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