国内最多のファクトチェック記事を配信・動画も開始 JFC設立半年、検証講座や教材の開発へ

国内最多のファクトチェック記事を配信・動画も開始 JFC設立半年、検証講座や教材の開発へ

日本ファクトチェックセンター(JFC)は2022年10月の発足以来、約半年で国内最多*のファクトチェック記事を配信しました。編集部の体制を拡充し、4月にはショート動画も開始。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証団体となるため、審査を申請中です。

JFCが公開したファクトチェック記事は4月28日現在で89本あり、note上のJFCページで閲覧可能です。検証対象は「言説」「画像」「動画」に分類され、それぞれ、検証過程を解説することで、読者が検証手法を学び、自ら実践できる内容となっています。

Yahoo!ニュースへの配信で多くの読者を獲得している他、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアへも配信。「ケムトレイル」などの根強い陰謀論では、Google検索結果のトップページに表示され、マイクロソフトbingのAIチャットでも回答に引用されています。

より多くのユーザーに届くよう、動画の各プラットフォーム(YouTube、X(Twitter)、Facebook、Instagram、TikTok)での配信も開始しており、さらなるリーチの強化を図っています。

JFCでは、様々なタイプの誤情報/偽情報に対応するべく、AI生成画像の検証や公開されている地理情報を活用したOSINT、動画検証など、幅広い事例を積み上げています。実際の検証手法について、具体例を挙げて紹介します。

検証手法の実例(画像・動画、AI、OSINT)

動画や画像はオリジナルを探す

動画や画像は偽情報に利用されがちです。中身を改変したり、一部を切り取ったり、外国語の動画に内容と違う日本語訳をつけたりと、様々な手法が蔓延しています。

最も重要なのは、元画像や元動画を探すことです。GoogleレンズやInVIDなどのツールを活用しましょう。

動画を検索するのに便利なInVIDの使い方は 「遺体が動いてる」という動画は気候変動デモの映像に、ウクライナ侵攻のテロップを被せたもので誤り」などをご参照ください。

元動画を探すには、InVidのようなツールを使うだけでなく、基本に立ち返ってYouTubeで探す手法も非常に有効です。

コツは動画の登場人物や背景に映り込んでいるものから、検索キーワードを考えることです。「『(動画)ビル・ゲイツが予防接種は間違いと認めた』は誤り」では、動画の背景に写りこんでいる文字から元動画を探し当てました。記事で解説しているので、参考にしてください。

AI生成画像は細部を見る

昨年から大きな話題となっている生成AIによる偽画像の見分け方については、「 ドローンで撮影された静岡県の災害」はAI作成の偽画像」が参考になります。

画像

画像検索ツール「Googleレンズ」を使って類似画像を調べ、細部を拡大して矛盾点を探したり、災害現場に足を運んでいる公共機関に直接確認を取るなどの手法を解説しています。

細部を確認するときのコツは、AIが苦手な部分に注目することです。

人物画像なら「耳」「指」「歯」「髪」が不自然になっていることが多いので、まずはそこを重点的に見てみましょう。

風景や建物の描写であれば、晴れているのに影が映っていないなど影の描写が雑ではないか。あるべきもの(電柱や電線など)がなかったり、不自然なものが乱雑に描かれていたり。細部を見ると気づけます。

公開されている地理情報でOSINT

短期間で注目が集まる災害や事件などで難しいのは、事実と誤情報が入り乱れることです。正しい情報を見分けることも重要になります。そのために地理情報を活用する手法を示しているのが「「なぜニュースにならないの?」 静岡県内の水害画像は本物」です。

画像

Googleマップから該当する地域のストリートビューを利用すると、現地の写真を様々な角度や位置から確認することができます。

更に、その時間に本当に雨が降っていたか、川が氾濫していたのかなど、その時間帯の降水量や川の増水の有無は、国や自治体のウェブサイトなどでも調べることができます。

ショート動画の配信を開始

近年急速に増えているのが、ショート動画の誤情報です。TikTokだけでなく、YouTube、Instagram、X(Twitter)、Facebookなどプラットフォームを横断して急速に拡散し、特に若い世代に強い影響力を持っています。

JFCでは検証した記事をショート動画にして配信する取り組みも始めています(YouTube、X(Twitter)、Facebook、Instagram、TikTok)。国内外の大震災は人の手によるものだとする「人工地震説」を検証した動画を始め、今後は動画での配信頻度も増やしていきます。

リテラシー担当の副編集長が参画

JFCは2022年10月、編集長を含む3人のエディターと4人のインターンでスタートしました。活動範囲が増えるに伴って編集部も増強しています。

ファクトチェック記事や動画を配信するだけでなく、ファクトチェッカーの養成やリテラシー教育の普及、総合的な誤情報対策の研究など、活動範囲は多岐に渡るため、人材採用にも取り組んできました。

3月には、新たな戦力として副編集長に宮本聖二が加わりました。宮本は、NHKの地方放送局や報道局などでニュース、ドキュメンタリーの制作や放送コンテンツのデジタル展開にあたり、Yahoo!JAPANではニュースにおける信頼性の確保と地方メディアとの共同取材・制作などに取り組んできたベテランです。ヤフー時代にはJFC編集長の古田大輔とともに、誤情報対策のコンテンツづくりも担当していました。

JFCでは編集長の補佐役というだけでなく、SIAにおいてリテラシー教材の作成などを担当します。

ファクトチェッカー養成機関としての機能も

発足時の4人のインターンのうち、3月に1人は留学、2人は卒業して報道機関に就職しましたが、今年1月以降、新たに5人が加わって、現在、インターンは大学院生2人を含む総勢6人。文系や理系、東京以外からの遠隔参加もあり、多様性を増しています。

学生がファクトチェックの手法を身に着けて巣立っていくことが、日本のファクトチェッカーの裾野を広げていきます。さらに教育手法をJFCとして磨いていくことで、トレーニングコースを外部にも提供しようと計画しております。

海外ではファクトチェック機関がファクトチェッカー養成講座を開き、草の根の真偽検証を広げていくことは珍しくありません。JFCも外部団体や有識者とも協力しながら、養成講座を準備していく計画です。

海外とのネットワーク

誤情報は国境を超えます。JFCはIFCN認証団体などと協力しながら、国際的なファクトチェックにも取り組もうとしています。

International Fact-Checking Network - Poynter
What is the International Fact-Checking Network? The International Fact-Checking Network (IFCN) at Poynter was launched in 2015 to bring together the growing community of fact-checkers around the world and advocates […]

IFCNが毎年開催し、世界中のファクトチェッカーやジャーナリスト、研究者や教育者など誤情報に対策取り組む有識者が一堂に会すGlobal Factは2023年に10回目を迎え、ソウルで6月下旬に実施される予定で、初のアジア開催となります。

編集長の古田が参加を予定しており、アジア各国の専門家たちとアジアにおける課題、協力について議論しようと準備を進めています。

コラボレーションとテクノロジーの強化へ

2022年以降、性能が劇的に上がっている生成AIによる偽画像や誤情報の拡散が話題になっています。AIを用いて、誰でも短時間で簡単に大量に事実と異なる情報や画像を生成できるようになり、情報の質をめぐる状況は悪化しています。

JFC単独の検証では、誤情報の量と拡散するスピードには対抗できないのが現状です。ファクトチェックとメディア・リテラシーのさらなる普及は待ったなしですが、その効果を高めていくためには、テクノロジーの活用と外部の専門家や機関とのコラボレーションが欠かせません。

多様な関係者との議論や協力を深めていきたいと考えています。


*JFCは2022年9月27日のサイト公開から2023年4月28日現在で89本の記事を公開。日本のファクトチェック記事の事例を収集して紹介している特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブの「ファクトチェック・ナビ」を見ると、同じ期間にJFCを除く7つのメディアで計82本のファクトチェック記事が出ており、JFCはその合計を上回っている。


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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毎年拡散するインフルエンザ誤情報/JFC記事・動画や関連記事【今週のファクトチェック】

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あるニュースが注目を集めると、それにまつわる偽・誤情報が必ず拡散します。地震、台風、インフルエンザもその一つです。季節の話題のように、毎年、流行のタイミングで、手口が似通った偽情報が拡散する。プレバンキング記事で予習をしておくと良いでしょう。 今週のファクトチェックまとめです。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 今週のお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は10月24日(土)午後4時~5時30分で、お申し込みはこちら。 日本ファクトチェックセンター(JFC) ファクトチェック講師養成講座 10月24日(土)開催分日本ファク

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日高村がバングラデシュ人を1000人受け入れる? 村は否定【ファクトチェック】

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高知県日高村が「バングラデシュ人1000人を受け入れる」という投稿が拡散しましたが、誤りです。日高村は「特定の国籍の方を対象とした集団的な移住事業や計画は行っていない」と公式に否定しています。民間の交流団体の会長は「1000人」と話していますが、村の施策とは無関係です。 検証対象 拡散した言説 2026年10月1日、「高知県の日高村という人口4577人の村で、バングラデシュ人1000人受け入れるみたいだが…」という投稿がXで拡散した。 検証する理由 この投稿は9000件以上リポストされ、表示回数は839万回を超えている。「地元の人達は知ってるの?」「5人に1人がバングラデシュ人になってしまう!」というコメントがあるため検証する。 検証過程 出入国在留管理庁のウェブサイトによると、2025年末現在、高知県に住むバングラデシュ人は107人だ(出入国在留管理庁”令和7年末現在における在留外国人数について”)。 「1000人受け入れ」は村の計画ではなく民間団体の発言 「バングラデシュ人を1000人受け入れ」はどこからの情報か。Meltwaterで

By 木山竣策(Shunsaku Kiyama)
インフルエンザの偽・誤情報は毎年、形を変えて広がる 国内外の検証に見る5つの手口【プレバンキング】

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秋が深まり、インフルエンザワクチンの接種シーズンが始まりました。この時期は、ワクチンや流行をめぐる偽・誤情報も毎年のように広がります。日本ファクトチェックセンター(JFC)は、インフルエンザワクチンに関する投稿を繰り返し検証してきました。似たような主張は、海外でも拡散しています。今回は、海外の事例も合わせて、5つの「手口」を紹介します。 この記事は、偽・誤情報の手口を知ることで、同様の情報を目にしたときに騙されにくくする「プレバンキング」という予防的な取り組みです。詳しくは、JFC用語解説「プレバンキング」をご覧ください。 広がりやすい5つの手口 1. 本物の資料の一部分を切り出して「危険」と主張 本物の医薬品の添付文書や研究論文の一部を切り取って、「危険だ」と主張する投稿です。 2025年9月、点鼻ワクチン「フルミスト」の添付文書に「劇薬」「ミトコンドリア脳筋症の症状悪化」と書かれていることを根拠に、「子供の命が危険」だという主張が拡散しました。記載は事実ですが、そもそもワクチンは原則「劇薬」に指定されています。「劇薬は用法・用量に注意が必要だ」とい

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大谷翔平選手に関するニュースを装った偽サイトが拡散 投資に勧誘【詐欺注意】

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2026年10月ごろから、「大谷翔平氏がシカゴでのカブス戦後に片山さつき財務相との握手を拒否した」とするNHK風の偽記事がインターネット上で拡散しています。リンクをクリックすると投資サービスの宣伝に誘導されるので注意が必要です。 2026年10月ごろから、ドジャースの大谷選手の写真とともに「先日の出来事は、日本中に衝撃を与えました」「最新情報はWebサイトに掲載しています」などと書かれたリンクが添付された投稿が多数投稿されている(例1、例2)。 10月5日現在、投稿したアカウントの一部は凍結されている。 リンク先に飛ぶと(現在は削除済み)、NHKのロゴがある記事のようなページが表示される。見出しは「大谷翔平、シカゴでのカブス戦後に片山氏との握手を拒否。その背後にある驚くべき理由とは — NHK」。ロゴやレイアウトなどは、実際のNHKのニュースサイトに似せて作られている。 しかしページのURLは「affectmeridian.world」で、NHK(https://www.nhk.or.jp/)とは関係のないドメインだ。NHKのサイトには同じ記事が存在しない。

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ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

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理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

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JFCファクトチェッカー認定試験

JFCファクトチェッカー認定試験

日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や騙されない人の行動

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