アルテミスⅡ乗組員が撮影した月面の裏側? 表側と地球を合成【ファクトチェック】

アルテミスⅡ乗組員が撮影した月面の裏側? 表側と地球を合成【ファクトチェック】

月探査プロジェクト「アルテミス計画」の一環だと主張する、「乗組員が撮影した月の裏側の動画」が拡散しましたが、実際の映像ではありません。米航空宇宙局(NASA)が主導する有人月面探査プロジェクト「アルテミス計画」では、生成AIで作られたディープフェイクや合成画像など、様々な偽画像・動画が拡散しています。

検証対象

拡散した言説

2026年4月8日、「月の裏側、人間の目が最近まで足を踏み入れていなかった場所で、アルテミスIIの乗組員がこの光景を捉えた」という英語の説明付きの動画が拡散した。

検証する理由

4月10日現在、投稿は2300回以上リポストされ、表示は190万件を超える。

この動画は日本語でも拡散。「嘘動画じゃん」「どう見ても、AI」などの指摘が多いが、「本当にきれい」「アニメみたいに見えるのは驚き」など、真に受けた反応もあるため、検証する。

検証過程

拡散した動画は

拡散した動画は20秒。画面奥に地球が大きく全面に映り、画面の手前を右から左に月が横切る。冒頭から2秒ほどの間、左下に小さく赤い円のテロップが表示される。円の内側には黒い点のようなものが映っているが、説明がなく、点の詳細はわからない。

拡散した映像は月の「表」

月は、常に地球に対して同じ面を向けている(国立天文台”暦Wiki 月はいつも地球に同じ面を向けている”)。

日本語では、いつも地球から見える面を「表」、反対側を「裏」と呼ぶのが一般的だ(日経新聞”月の表より裏の内部が乾燥か、起源の手掛かりに 中国科学院など”、産経新聞”月の模様はうさぎ?かに? 表と裏にも違い まだまだ謎だらけ”)。

表側の明るい部分は「高地」、暗い部分は「海」と呼ばれ、裏側には隕石の衝突でできたクレーターが多数ある(JAXA”もっと知りたい「惑星」のこと 月編”)。

NASAによると、裏側には「海」が少なく、大小さまざまなクレーターが無数にある(NASA”The Moon From the Other Side”)。

動画は手前に月が、背景に地球が映っている。つまり、動画に映っているのは月の「裏」でなければならない。しかし、映っているのは「表」だ。

つまり、この動画はAIかCGを用いて作られた偽物だ。

NASAのサイトに該当動画なし

NASAは、アルテミスⅡの画像や動画をウェブサイトに公開しているが、拡散した動画は見つからなかった(NASA”ArtemisⅡMultimedia”)。

判定

「アルテミス計画」の乗組員が撮影したという「月の裏側」の動画が拡散した。しかし、検証対象の動画は、地球を背景にして、本来映るはずのない月の表側が映っており、本物の動画ではない。

出典・参考

国立天文台.”暦Wiki 月はいつも地球に同じ面を向けている”.https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C4ACBCAE2FC4ACBCAECBE0BBA4.html,(閲覧日2026年4月10日).

日経新聞.”月の表より裏の内部が乾燥か、起源の手掛かりに 中国科学院など”.https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C4ACBCAE2FC4ACBCAECBE0BBA4.html,(閲覧日2026年4月10日).

産経新聞.”月の模様はうさぎ?かに? 表と裏にも違い まだまだ謎だらけ”.https://www.sankei.com/article/20240904-BZLJCNXZKZLV7A7ED7JOA2AWKI/,(閲覧日2026年4月10日).

JAXA.”もっと知りたい「惑星」のこと 月編”.https://fanfun.jaxa.jp/countdown/moon-mars/index_j.html,(閲覧日2026年4月10日).

NASA.”The Moon From the Other Side”.https://science.nasa.gov/resource/the-moon-from-the-other-side/,(閲覧日2026年4月10日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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