れいわ・山本代表「外国人犯罪の中で一番多いのは米兵」? 検挙数 の公式データと異なる【#参院選ファクトチェック】

れいわ新選組・山本太郎代表が「一番外国人犯罪の中で多いのなんやねん、といったら米兵」と発言し、Xにも投稿しましたが誤りです。最新の白書などで確認すると、2023年の刑法犯検挙数は米軍関係者118件で、国籍別ではベトナムや中国籍が多く、「外国人犯罪で最も多いのが米兵によるもの」とは言えません。
検証対象
2025年7月17日、れいわ新選組・山本代表が「外国人犯罪が多くなってるって言ってるけど、一番外国人犯罪の中で多いのなんやねん、といったら米兵じゃねぇかよ」と発言する動画がれいわ新選組の公式Xに投稿された。
投稿には7月13日の池袋での演説の動画が添付され、動画でも同様の発言をしている。2025年7月17日現在、この投稿は1400件以上リポストされ、表示回数は24.8万回を超える。投稿について「応援しています」「天才だ」というコメントの一方で「デマ」という指摘もある。
検証過程
警察庁は、毎年、犯罪に関する統計や対策などをまとめた「警察白書」を公開している。現時点の最新版(2024年版)を確認すると、2014年~2023年の主な国籍別検挙数がまとめられている(警察庁”2024年警察白書 統計資料”)。
2023年の刑法犯の外国人検挙数は全部で1万40件。そのうち4082件(40.7%)がベトナムで、中国が1932件(19.2%)、ブラジルが467件(4.7%)、フィリピンが403件(4.0%)と続く(警察庁“来日外国人の主な国籍別検挙状況の推移(平成26~令和5年) 刑法犯”)。
一方、刑法で定められている犯罪以外の犯罪(覚せい剤所持など)を犯した特別法犯についての検挙数は8048件。最も多いのがベトナムで3868件(48.1%)、中国が1048件(13.0%)、タイが644件(8.0%)、フィリピンが340件(4.2%)と続く(警察庁”来日外国人の主な国籍別検挙状況の推移(平成26~令和5年)特別法犯”)。
在日米軍の犯罪数は
警察白書における「来日外国人」とは、特別永住者、永住者、永住者の配偶者、在日米軍関係者及び在留資格不明者以外の者をいう。つまり、上記データに米軍関係者は含まれていない。
報道によると、2023年の米軍関係者の刑法犯で検挙された数は全国で118件、過去10年間で最多となっている。(琉球新報”米軍関係者の刑法犯の摘発、過去10年で最多 全国118件 沖縄県内72件、全体の6割占める 2023年”、毎日新聞”米軍関係者の検挙事件、6割が沖縄 重い基地負担、軽減進まず | “)。
米軍関係者の検挙数は増えているものの、2023年の検挙数を比べると、ベトナムや中国に比べて少ない。
判定
米軍関係者の検挙数は増えてはいるが、2023年のデータを比べると米軍関係者の検挙数は118件で、ベトナムや中国籍の検挙数に比べると少ない。よって「一番外国人犯罪の中で多いのは米兵」は誤りと判定した。
出典・参考
警察庁. “令和6年版警察白書 統計資料”. 警察庁 Webサイト. 公開日:令和6年12月9日更新. https://www.npa.go.jp/hakusyo/r06/data.html , (閲覧日 2025年7月17日).
琉球新報デジタル. “米軍関係者の刑法犯の摘発、過去10年で最多 全国118件 沖縄県内72件、全体の6割占める 2023年”. 2024年9月7日. https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3449688.html , (閲覧日 2025年7月17日).
毎日新聞. “米軍関係者の検挙事件、6割が沖縄 重い基地負担、軽減進まず”. 2024年8月10日. https://mainichi.jp/articles/20240810/k00/00m/040/187000c , (閲覧日 2025年7月17日).
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
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