東京新聞が都議選の開票不正を報じた? そのような記事はない【ファクトチェック】

「東京新聞が都民ファーストの開票不正を暴露した」という情報が拡散しましたが、誤りです。2025年6月27日時点で、そのような報道はありません。
検証対象
2025年6月26日、「6月24日、東京新聞デジタルは都民ファの不正集計疑惑を報じた」「練馬区の開票所で実際に作業していたスタッフによると速報値と実票数が100票近くズレていたんです」という内容の動画がTikTokで拡散した。
この動画は1.2万件以上のいいねを獲得している。この動画はXでも投稿され、2025年6月27日現在、2050件以上リポストされ、表示回数は6.4万回を超える。
投稿について「何で地上波のニュース出ないのかな」「やっぱり不正はあるのだろうやぁ、、参議院選」というコメントの一方で「元記事を貼ってない情報は嘘」という指摘もある。
検証過程
2025年6月22日に投開票を迎えた東京都議会議員選挙は小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が31議席を獲得して第1党に返り咲く一方、自民党は30議席から9減らし、過去最低の議席数となった(NHK"都議選2025 開票結果 全42選挙区の当選者 都議会第1党は都民ファーストの会")。
東京新聞デジタルは「都民ファーストの不正集計疑惑」を報じているのか。
東京新聞は、2025年の都議選に関する記事を特設ページでまとめている。拡散した動画は「東京新聞デジタルが6月24日に報じた」と説明しているが、24日にページに投稿された記事は計6本、集計機の不具合や不正集計に関する記事はない。
一方で、東京新聞は投開票日から3日後の25日に開票作業の公正性を疑問視する投稿について検証し、その内容を否定する記事を出している。
SNSで拡散した「持ち込み違反の大きなカバンを開票所に持ってきていた」という画像について2016年参院選以前のもので、誤解を招く恐れが強い「ミスリード」な内容と報じた(東京新聞デジタル"151万回表示された「大きなカバンを開票所に」 調べてみたら…8年前の投稿に全く同じ写真が")。
東京都選挙管理委員会は、開票所で不正があったという投稿が出回っていることに対して、以下のように否定する声明をXに投稿している。
「開票事務は、公正に行われるために公開しており、開票区内の有権者により参観が行われております。また、公職選挙法に則り、候補者が選んだ立会人による立ち会いのもと適正に行われているため、不正が行われることはありません」
判定
拡散した投稿は「東京新聞デジタルが報じた」としているが、そのような報道はない。よって誤りと判定した。
出典・参考
NHK首都圏局. “都議選2025 開票結果 全42選挙区の当選者 都議会第1党は都民ファーストの会”.2025年6月23日. https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/024/80/ , (閲覧日 2025年6月27日).
東京新聞デジタル. “151万回表示された「大きなカバンを開票所に」 調べてみたら…8年前の投稿に全く同じ写真が”. 2025年6月25日. https://www.tokyo-np.co.jp/article/414356?rct=togisen2025 , (閲覧日 2025年6月27日).
検証:木山竣策
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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