指輪型ライトの接触不良、アルミホイルをボタン電池にはさむと解決? 発火する危険性【ファクトチェック】

指輪型ライトの接触不良、アルミホイルをボタン電池にはさむと解決? 発火する危険性【ファクトチェック】

ボタン電池を使う指輪型ライトが接触不良になった場合、アルミホイルを電池の間に挟むと点灯するという情報が拡散しましたが、不正確です。アルミホイルを挟むと発火する危険性があるため、製造元が注意を呼びかけています。

検証対象

2025年4月4日、ボタン電池を使った指輪型ライトの画像と共に「(ライトが)消えるのは接触不良なので、アルミホイルを良い感じの厚みに折り畳んで、電池2枚の間に挟んでみて!2時間ずっと元気に光るようになるよ!! これくらい適当で大丈夫…」という投稿が拡散した。

添付された画像ではボタン電池と同じサイズに折ったアルミホイルをボタン電池にかぶせている。

2025年4月17日現在、この投稿は1300件以上リポストされ、表示回数は195万回を超える。この投稿について「早速、やってみますね」「困ってたから助かります」というコメントの一方で「間違って火災とか起きる可能性があるのでオススメしません」という指摘もある。

検証過程

「ヒプムビ」とは、キャラクターがラップバトルをする音楽プロジェクト「ヒプノシスマイク」の映画版。観客参加型で、2025年2月に上映が始まった。

観客は応援グッズを使ってスクリーン上のラップバトルを応援し、その勝敗をスマートフォンを使って投票する。応援グッズの一つが指輪型ライトだ。

製造元「重大な事故を引き起こす可能性がある」

検証した画像に写っている指輪型ライトの製造元を調べると、株式会社ルミカであるとわかった。日本ファクトチェックセンター(JFC)はルミカに取材した。

アルミを電池の間に挟む手法について、ルミカは「電池をショートさせ、発熱・発火などの重大な事故を引き起こす可能性がありますので、おやめいただきたいと考えております」と回答した。

また、「ライトが消えやすい」との指摘は把握しており、問合せがあったものについては同社で対応しているという。今後については発売元のキングレコード株式会社と協議しているという。

災害時には代用することも

アルミホイルを利用する方法自体は存在する。警視庁災害対策課は、災害など緊急時に足りない電池代わりにアルミホイルを使う方法をXで紹介している。

懐中電灯に必要な2本の電池のうち1本がなくても代わりにアルミホイルを使って通電させることで一時的に使用できるという内容だ。ただし、「あくまで緊急時の一時的な方法としての紹介です。常用は避けてください」と注意喚起もしている。

判定

ボタン電池の間にアルミホイルを挟む行為は製造元が「発熱・発火など重大な事故を引き起こす可能性があるため、やめてほしい」と回答している。警視庁も災害時などの緊急対応として紹介はしているが「常用は避けて」と呼びかけている。よって不正確と判定した。

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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