「パルワールド」公式を装ったアカウントが出現  NFT購入への誘導、巧妙な偽サイト

「パルワールド」公式を装ったアカウントが出現  NFT購入への誘導、巧妙な偽サイト

世界的な人気ゲーム「パルワールド」公式を装ったアカウントが出現しています。偽アカウントはNFT購入サイトへ誘導しており、詐欺に遭ったり、個人情報を悪用されたりする恐れがあります。

公式に酷似する偽アカウント

「パルワールド」の公式アカウントを装ったアカウントがX(旧Twitter)上に出現した。偽アカウントは、英文で、本物のアカウントへのリプライという形で1月31日に投稿(リンクはアーカイブ)しており、「パルワールドNFTが始動しました。パルワールドNFTに登録し、ゲーム内特典を獲得してください」という英文とともに、パルワールド公式を模した偽サイトへのURLを添付している。

サイトも本物に酷似

偽サイトは公式サイトの画像をそのまま流用しており、ほぼ同じように見える。

偽サイト
公式サイト

偽アカウントを見分ける:1文字違いのID

偽アカウントを見分ける方法は、Xで各アカウントに固有のIDに着目することだ。アカウント名は偽物も公式と同じ名前を名乗れるが、IDが同じアカウントは存在しない。

パルワールド公式のXアカウントは、英語版が@Palworld_EN、日本語版が@Palworld_JPだ。一方、今回の偽アカウントは@Palworlds_JP(現在は消去)と、sがついている。_JPは日本語版を示すアカウントにつくにもかかわらず、投稿文が英語で書かれていることも判別ポイントだ。

偽サイトを見分ける:公式サイトと異なるドメイン

公式サイトのURLはhttps://www.pocketpair.jp/palworldであり、ドメインは.jpだ。一方、偽サイトのURLはドメインが.com。また、NFTの支払い方法には、日本で馴染みのない決済手段が並んでいる。

偽サイトの決済手段一覧

公式アカウントも別の偽アカウントに注意喚起

「パルワールド」公式アカウントは、2024年1月28日にこの検証とは別の偽アカウントに注意喚起をしている。「NFTに誘導するという報告も出ていますが、弊社はNFTの類を一切発行しておりません」と表明しており、NFTに誘導する手口が他のアカウントでも使われている。

こちらの偽アカウントのIDは@Palwcrld_jp。jpが小文字でoがcになっている。

偽アカウントや偽サイトに注意を

企業や自治体、通販などのサイトやSNSアカウントを装う偽アカウント・偽サイトは、次々に出てきています。日本ファクトチェックセンター(JFC)では、詐欺被害につながる偽サイトへの注意を呼びかける記事を公開しています(例1,例2)。

サイト内のテキストの日本語表現におかしな点はないか、公式のアカウント・サイトかどうかGoogle検索やURLを見て確認することが必要です。

検証:本橋瑞紀
編集:古田大輔、藤森かもめ、宮本聖二

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。検証記事を広げるため、XFacebookYouTubeInstagramでのフォロー・拡散をよろしくお願いします。毎週、ファクトチェック情報をまとめて届けるニュースレター登録(無料)は、上のボタンからどうぞ。

また、QRコード(またはこのリンク)からLINEでJFCをフォローし、気になる情報について質問すると、AIが関連性の高い過去のJFC記事をお届けします。詳しくはこちらの記事を

もっと見る

ファクトチェックと「プリバンキング」 “情報の空白”を埋める注目の手法【JFC講座 実践編9】

ファクトチェックと「プリバンキング」 “情報の空白”を埋める注目の手法【JFC講座 実践編9】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第8回は、よく質問されるファクトチェックと調査報道や裏取りとの違いについてでした。第9回は世界のファクトチェック事例や新手法を解説します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) ファクトチェックの多様な事例 ファクトチェックには原則がありますが、同時に、検証対象の選び方や組織のあり方などは多様です。国内外の事例を紹介します。 Factchek.org ファクトチェック団体としては老舗のFactchek.orgはアメリカ政治に関する偽情報に対応するために、「有権者のための消費者保護センター」を目指して2003年に設立されました。 そのため、主なトピックに並ぶのは「バイデン大統領」「トランプ前大統領」、そして「その他の大統領候補」などアメリカ政治中心です(2024年7月27日現在)。 例えば、「バイデンが不法移民に家賃を支払っているという根拠のない主張」という記事には、見出しに検証対象と検証結果=根拠なしが記され、記事内では検証過程が詳細に記述されていま

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
日本での農地取得、外国人が3分の2? 新聞記事の誤読が拡散【ファクトチェック】

日本での農地取得、外国人が3分の2? 新聞記事の誤読が拡散【ファクトチェック】

「外国人による農地取得が全体の3分の2」という言説が拡散しましたが、誤りです。新聞記事を誤読した投稿が拡散しました。 検証対象 2024年7月20日、日本農業新聞の記事を引用して「これやばいだろ?なんで国は規制しない? 外国人による農地取得が全体の3分の2を占めたらしい」という言説が拡散した。 この投稿は43万以上の閲覧と6900のリポストがある。「農地って簡単に買えるの?」「自国の国民のために農地を開拓しているのかもしれない」というコメントのほか、「記事をちゃんと読みましたか」「日本であっても規制はありますよー」といった指摘もある。 「外国人による農地取得が3分の2を占めた」という言説を検証する。 検証過程 言説に添付されたのは、日本農業新聞が2024年7月20日に配信した記事だ。拡散したスクショは「外国人の農地取得 23年は90ヘクタールに 3分の2が国内在住」という見出しで、7月26日朝の時点では「3分の2」が「国内在住の個人・法人中心」に変わっている。 外国資本が「全体の3分の2」ではない 記事の内容は「外国人もしくはその関係法人が2

By 宮本聖二
最新の複数世論調査でトランプ前大統領がハリス副大統領を大幅リード? 拡散したのは予想サイトの数字【ファクトチェック】

最新の複数世論調査でトランプ前大統領がハリス副大統領を大幅リード? 拡散したのは予想サイトの数字【ファクトチェック】

「最新の複数世論調査でトランプ大統領がカマラ・ハリスを大幅リード」という言説が拡散しましたが誤りです。言説に表示された数字は世論調査の数字ではありません。2024年7月26日現在、最新の世論調査では、両氏の支持率は拮抗しています。 検証対象 2024年7月23日、「最新の複数世論調査でトランプ大統領がカマラ・ハリスを大幅リード/NHKは『僅差』と報道」という言説が拡散した。言説にはまとめサイト「トータルニュースワールド」のリンクが添付されている。 2024年7月26日現在、投稿は1700件以上リポストされ、表示回数は31万件を超える。投稿について「当たり前」「妥当」というコメントがある。 検証過程 数字は予測市場プラットフォームの数字 拡散した言説にはまとめサイト「トータルニュース」のリンクが添付され、「64% Trump」「36% Kamala」と書かれたサムネイルが表示されている。リンク先を確認すると、根拠として「PolyMarket」の数字を集計した一般ユーザーのX投稿を複数取り上げている。 Polymarket(ポリマーケット)は、仮想通

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
ファクトチェックと調査報道 共通する手法と異なる方法論【JFC講座 実践編8】

ファクトチェックと調査報道 共通する手法と異なる方法論【JFC講座 実践編8】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第7回は、ファクトチェックに役立つサイトやツールについてでした。第8回はよく質問されるファクトチェックと調査報道や裏取りとの違いを解説します。 (本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています) ファクトチェックと調査報道の違い 「ファクトチェックは事実を確かめることだから、報道機関は当然どこでもやっているのではないか」とよく聞かれます。 半分正解で半分間違いと言えます。何が共通していて、何が異なるのかを解説していきます。 ファクトチェックとオンライン調査 検証の根拠を公開し、可能な限りユーザーにもアクセス可能にすることが原則のファクトチェックでは、オンライン調査の手法を活用します。 誰でもアクセスできるオープンソースを使うOSINTの重要性は実践編6でも説明した通りです。 OSINTでファクトチェック 公開データを使い真偽を判別する【JFC講座 実践編6】日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。 実践編第5回は、生成AIで作られる画像

By 古田大輔(Daisuke Furuta)