犬がエレベーターの落下を予見して乗ろうとした子どもを助けた? 動画はAI生成【ファクトチェック】
「子どもが犬とエレベーターに乗ろうとしたところ、犬が騒いだので見送った。するとエレベーターは落下して命が助かった」というストーリーの動画が拡散しましたが、現実の映像ではなく、誤りです。動画は不自然な日付表示や映像の乱れなど、AIで生成した特徴があります。
検証対象
拡散した投稿
2025年12月15日、「犬の察する能力ってすごいね!」という動画付き投稿が拡散した。
動画には、エレベーターに乗ろうとする少年を犬が阻止し、その後、エレベーターが落下する様子が写っている。

検証する理由
12月22日現在、この投稿は1400件以上リポストされ、表示回数は797万回を超える。投稿について「そんなタワテラの最初みたいなことある?」「本物の映像かと思った」というコメントの一方で「フェイクばかりでイヤになる。AI規制すべき」という指摘もある。
検証過程
拡散した動画は21秒間。2025年12月14日に英語でXに投稿され、15日に日本語で引用されて拡散した。
動画右上(赤線)には2025-12-21と書かれ、拡散した時点で未来の日付だ。
また、エレベーターに乗り込もうとする少年を犬が止める5〜7秒にかけて、少年の靴(赤丸)が消えたり出現したりと映像が乱れている。AI生成の動画は、動きが激しい部分の画像が乱れやすいという特徴がある。

また、動画には定期的に「@Zoopedition」という透かしが入っている。Googleで検索すると、そのアカウント名でYoutubeチャンネルが見つかる。今回拡散した動画は11月28日に投稿され、6700万回以上再生されている。
このチャンネルはAI生成動画を配信しており、プロフィール欄には「この映像は完全にAIによって制作されています」と書かれている。
判定
拡散した動画は、映像内に、未来の日付表示や少年の足の形など不自然な描写がある。元動画はAI生成動画を投稿しているYouTubeチャンネルのコンテンツだ。よって誤りと判定した。
あとがき
犬が子どもを助けたり、動物同士で助け合ったりと心温まる動画が世界中で拡散しています。しかし、その多くは生成AIで作成されたもので、現実の映像ではありません。
AIで作ったものとわかって見るのであれば問題ないですが、現実とAIの区別がつかなくなることは危険です。生成AIで作った動画の特徴や透かしなどを確認するようにしましょう。
検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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