中国からの食料輸入がなくなったら日本の食卓はイモだらけ? 中国からの輸入は一部【ファクトチェック】

中国からの食料輸入がなくなったら日本の食卓はイモだらけ? 中国からの輸入は一部【ファクトチェック】

中国からの食料輸入が途絶えたら、日本の食卓はイモだらけになると示唆した画像が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。拡散した画像は、日本が食料を輸入せずに100%自給した場合の食卓です。中国からの食料輸入が途絶えただけで、拡散した画像のような食卓になるわけではありません。

検証対象

拡散した言説

2025年11月17日、「中国が日本への食料を止めたら、日本の食卓はこうなります。」という文言付きの画像がXで拡散した。

検証する理由

12月1日現在、投稿は3300回以上リポストされ、表示は442万件を超える。

投稿には「根拠を教えて下さい」「これは、農林水産省が示した『もし日本が輸入に一切頼らず国内だけでカロリー計算するとどうなるか』という極端なシミュレーションだ」などの指摘もあるが、「ご飯と梅干しに味噌汁があれば十分」「中国が止めてくれたら、その手間が省けていいわ」など、拡散した情報をうのみにしたコメントも多い。

検証過程

元画像は「食料自給率を100%にした場合の日本の食事」

添付画像をGoogleレンズで検索すると、朝日新聞の2022年6月14日付の記事「朝昼は焼きいも? 食料安全保障は我慢なのか、自給率だけでない論点」が表示される。新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻などで世界情勢が揺らぐ中、食料安全保障の現状を報じた記事で、拡散したものと同じ画像が付いている。

朝日新聞の記事の画像には「これは一昔前の日本の食卓ではありません。日本の農地をフル活用して得られた食料だけを皆が食べる状態、つまり『食料自給率』を100%にした際のメニューです。農林水産省が実際に公表しているものです」という説明がある。

画像の元データについて、日本ファクトチェックセンター(JFC)が農水省・食料安全保障室に確認したところ、「過去の食料自給力指標のメニュー例(いも類中心の作付け)が元になっていると思われる」と回答した。

「食料自給力指標」とは、国内生産だけで、どれぐらいの食料を最大限生産することが可能かを試算した指標で、「米・小麦中心の作付け」と、「いも類中心の作付け」がある(農水省”令和5年度食料自給率・食料自給力指標について”)。

拡散した画像は、中国を含むすべての国からの食料輸入が止まった場合のシミュレーションで、「中国から食料輸入が止まった場合」を想定した画像ではない。

食料輸入額に占める中国の割合

また、JFCが農水省に取材したところ、日本の食料供給に占める2024年度の中国からの輸入割合は、カロリーベースでは2%、生産額ベースでは4%だった。

農水省の資料「供給カロリーと食料消費額の国別構成(試算):令和6年度」にも、日本の食料供給について、カロリーベースでは国産が38%、米国からの輸入が23%、オーストラリアが12%、カナダが8%。国産に米・豪・カナダからの輸入を合わせると、全体の8割を超えると書かれている(農水省”令和6年度食料自給率について”p13)。

つまり、中国からの食料の輸入がなくなるだけで、拡散した画像のような食料事情になることはない。

肥料の多くは中国から輸入

ただし、食料安全保障は食料の輸入にとどまらない。その他の重要な要素として肥料がある。

日本は化学肥料の大半を輸入に頼っており、特にりん酸アンモニウムの多くを中国から輸入している(農林水産省”肥料をめぐる情勢 令和7年10月”)。

これらの輸入が途絶えれば、食卓にも影響する。

判定

中国からの食料輸入が途絶えたら、日本の食卓はイモだらけになると示唆した画像が拡散した。拡散した画像は、中国だけでなくすべての国から食料輸入が途絶えた場合を想定したデータをもとに描かれた画像だ。また、日本の食料供給に占める中国からの輸入割合はカロリーベースで2%、生産額ベースで4%で、中国から食料の輸入が途絶えただけで、拡散した画像のような食料事情になることはない。一方で、肥料の輸入が途絶えれば、食卓への影響も大きい。よって、不正確と判定する。

出典・参考

朝日新聞.”朝昼は焼きいも? 食料安全保障は我慢なのか、自給率だけでない論点”.2022年6月14日.https://digital.asahi.com/articles/ASQ6956NDQ67ULFA04L.html,(閲覧日2025年12月1日).

農水省.”令和5年度食料自給率・食料自給力指標について”.https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/240808.html,(閲覧日2025年12月1日).

農林水産省.”肥料をめぐる情勢 令和7年10月”.
https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/index-213.pdf,(閲覧日2025年12月1日).

検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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