「女性の数や割合の議論をしているのは日本だけ」は誤り【ファクトチェック】

「女性の数や割合の議論をしているのは日本だけ」は誤り【ファクトチェック】

国民民主党の榛葉賀津也幹事長が、岸田改造内閣で副大臣・政務官に女性が一人もいないことを会見で質問され、「ジェンダーの数を云々しているのは日本だけ」と発言しましたが、誤りです。他の国々でも政治だけでなく様々な分野においてジェンダーバランスに関する具体的な議論と施策が進められています。

検証対象

第2次岸田再改造内閣の副大臣26人・政務官28人に女性が1人もいなかったことを受けて、2023年9月15日、国民民主党・榛葉幹事長が記者会見でジェンダーバランスに関する質問に対して「ジェンダーの数を云々しているのは日本だけ」「女性の割合が何パーセントだとか、何人女性がいるのとかこういうこといまだに言ってるの日本だけですよ」などと発言した。

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検証過程

ジェンダーギャップについて、男女比が話題になるのは日本だけなのか検証した。まず、榛葉幹事長の発言全体を確認する。検証対象の記者会見はYouTubeから見られる。

動画冒頭(6:36ごろ)で岸田政権の新しい副大臣・政務官に女性がいないことを問われ、榛葉幹事長は以下のように発言した。

「もう女性が何人とか、 そういう時代じゃないと思う。女性が多いからいいとか。閣僚に女性が何人とか副大臣政務官に女性がいないとか、こういうジェンダーの数をですね、云々してるのは日本だけですよ。普通に優秀な女性男性関係なくどんどん登用すると。そのためにも女性の国会議員が少なすぎるね。みんなにチャンスを与えて、ジェンダー関係なく、政治の舞台で活躍できる環境作りをしなければならない。大臣副大臣政務官に女性が何人、その数で評価するつもりはございません。それはなるべくですね。多様性を持った内閣政治ってのは大事だと思いますよ。役所もそうですね。それからメディアの社会もそうじゃないの?」

また22:44ごろにも「全員男性では明らかに多様性に欠けるのでは。その点について問題意識はあるか」などと質問を受け、以下のように答えた。

「問題意識持ってますよ。(中略)私も海外経験があるけど、女性の割合が何パーセントだとか、何人女性がいるのとか。こういうことをいまだに言ってるのは日本だけですよ。本当に申し訳ないけど、ジェンダーに対する認識が一周遅れてるよね。ただ、あまりにも女性の活躍する場所が少ないのも事実ですよ。これはなんとかしなきゃいけない。」

さらに「となると副大臣と政務官に女性がゼロというのは、ちょっとおかしいとお感じにならないですか?」と重ねて問われ、以下のように答えた。

「たくさんいた方がいいね、当然ながら。ただその数云々っていうのは、少し日本特有の議論かもしれませんが、それだけ日本が現在に対する感覚が遅れてるってことじゃないですか。悲しいかなですよ」

日本ファクトチェックセンター(JFC)は以下の発言について、検証した。

「もう女性が何人とか、 そういう時代じゃないと思う。女性が多いからいいとか。閣僚に女性が何人とか副大臣政務官に女性がいないとか、こういうジェンダーの数をですね、云々してるのは日本だけですよ」「女性の割合が何パーセントだとか、何人女性がいるのとか。こういうこといまだに言ってるのは日本だけですよ」「数云々っていうのは、少し日本特有の議論かもしれません」

女性の割合のような統計データは国際的に重視されている。世界経済フォーラム(WEF)は「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数を毎年発表している。この指標は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野から、男女比などの数値データを整理することで比較を可能にしている。

例えば日本において、初等教育就学率の男女比 1.000(1位)中等教育就学率の男女比1.000(1位)などと比べて、国会議員(衆院議員)の男女比 0.111(131位)、閣僚の男女比 0.091(128位)は低い値である。

また、日本を含めた38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は2015年にジェンダー平等に関する勧告を出しており、公共部門などでの男女の数や賃金差などに着目して格差の是正を訴えている。

メディアが閣僚の男女比に言及するのも日本だけではない。英メディアThe Guardianは2022年10月の記事「スナク内閣の女性比率の低さに怒り」で「閣議に出席する女性の割合が4分の1を切った」と指摘している。

2015年に発足したカナダのトルドー内閣は31ポストうち15ポストが女性が占めていた。記者会見でなぜ、ジェンダーバランスが重要なのかと問われたトルドー首相は「2015年だからです」と答えた

フランスでは政党に男女同数の候補者を義務付ける「パリテ法」が2000年に制定され、それまでほぼ1割を切っていた女性議員割合が2023年には37 .8 %に増加している。

各国の女性議員の比率については、列国議会同盟(IPU)のサイトなどで確認できる。こういったサイト自体が女性の割合が国際的に注目されている証拠だ。

女性の数や割合に着目し一定の範囲で特別の機会を提供し、実質的な機会均等を実現することを目的とする動きは内閣府も「ポジティブ・アクション」として推進している。

判定

日本以外の諸外国においても、女性の数は依然として重要な指標とされている。「ジェンダーの数を云々しているのは日本だけ」という言説は誤り。

検証:鈴木刀磨、堀祐理
編集:古田大輔、宮本聖二

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