河野太郎氏が「専業主婦は余裕がある」と発言した? 発言の一部を切り抜き【ファクトチェック】

自民党の河野太郎衆院議員が「専業主婦は余裕がある」と発言したという投稿が拡散しましたが、不正確です。番組での発言の一部を切り取って、異なる文脈を加えています。
検証対象
2025年4月25日、河野氏が「専業主婦は余裕がある」と発言したという投稿がXで拡散した。
2025年5月1日現在、この投稿は1.8万件以上リポストされ、表示回数は2500万回を超える。投稿について「世間知らずにも程がある」「世の中の専業主婦を敵に回した」というコメントの一方で「切り取り方に悪意を感じるし記事をまず読んだ方がいい」という指摘もある。
検証過程リンクされた記事の内容は
拡散した投稿にはスポーツニッポンの記事が添付されている。河野太郎氏が2025年4月24日に放送されたBS11「報道ライブ インサイドOUT」に出演し、年金制度改革について持論を語ったという内容だ。
記事は、河野氏が年金制度改革について、「年金1階部分の基礎年金を税金でまかなう」「2階部分の厚生年金を積み立て方式にする」「第3号被保険者制度の廃止」の3点を主張したと書いている。
また、自身の主張の中で「専業主婦ができるぐらい夫の収入があって余裕がある人の保険料を、一所懸命働いて子供を育てるシングルマザーが負担しているというのは公平ではない」と語ったと引用している。
年金制度改革と第3号被保険者制度
国民年金の被保険者は3種類に分類される。第1号は自営業や学生、無職の人など、第2号は厚生年金保険の被保険者である会社員、第3号は第2号保険者に扶養されている専業主婦や年収130万円以下のパートタイマーなどが該当する(厚労省「年金制度の仕組みと考え方」)。
第3号被保険者は、保険料を納めることなく年金がもらえるので、保険料を払っている人と比べ不公平だから無くすべきではないか、という議論がある。河野氏が引用された発言部分で言及している点だ。
実際の発言は
記事のもととなった番組の音声は、音声コンテンツプラットフォームAuDeeで確認することができる(2025年4月24日OA 「消費税で基礎年金を!河野太郎の年金"抜本改革"プラン」)。
河野氏は年金制度改革について、一元化を提案している。「時間をかけて段階的にやらなければいけない」と前置きしたうえで、記事にも引用された発言をしている。正確に文字起こしすると以下のようになる。
「第2号、つまり厚生年金に入っている人の保険料の中には第3号に出す基礎年金の部分も負担している。専業主婦ができるぐらい夫の収入があって余裕がある人の保険料を、一所懸命働いて子供を育てるシングルマザーが負担しているというのは公平ではない」
つまり、単純に「専業主婦は余裕がある」と断定しているのではなく、1号、2号、3号と3つに分かれた年金制度の中で、制度として公平性が保てない事例があるという例示として紹介している。
判定
河野氏は「専業主婦は余裕がある」とは発言していない。1~3号に分かれた年金制度の中で、不公平になる事例として「専業主婦ができるぐらい夫の収入がある」事例と「一生懸命働くシングルマザー」の家庭を例に挙げている。よって不正確と判定した。
検証:木山竣策、リサーチチーム
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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