トランプ大統領が自公政権を親中と認め、安全保障上の脅威と激怒? 書簡の文言は他国と一緒【#参院選ファクトチェック】

参院選の争点の一つでもある日米関税交渉について、「トランプ大統領、自公政権が親中とハッキリ認める!!」「『安全保障上の驚異』と激怒。関税25%上乗せへ!!」という投稿がXで拡散しましたが、誤りです。根拠として添付されている画像は、日本に25%の追加関税を課すことを通告する石破茂首相宛ての書簡を写したものですが、内容は関税の数字などを除けば「安全保障上の脅威」という文言も含めて同じ内容のものを各国に送っています。
検証対象
7月8日、「トランプ大統領、自公政権が親中とハッキリ認める!!」「『安全保障上の驚異』と激怒。関税25%上乗せへ!!」という投稿がXで拡散した。

7月18日現在、リポスト数は8600を超え、表示件数は731.3万を超えた。投稿には「敵国と認められたって事ですね!」「トランプ、石破のことめちゃくちゃ嫌いなんだな」というコメントや、「英語くらい読もうよ。関税25%とは言っているけど、それ以外言ってないだろ」「翻訳するリテラシーがあればこんなものに引っ掛からないのに」などの指摘が寄せられている。
検証過程
添付された書簡の内容は
拡散した投稿には、7月7日にトランプ大統領が自身のソーシャルメディアアカウントに投稿した画像を添付している。トランプ氏が日本に25%の追加関税を課すことを通告する、石破茂首相に対する書簡だ。
拡散した投稿には1枚しか画像がないが、トランプ氏の元画像にはもう1枚あり、トランプ氏のサインなどが書いてある。
書簡は、米国が日本との貿易赤字を是正するため、2025年8月1日から日本製品に一律25%の追加関税を課すと通告している。これは日本の関税・非関税措置・貿易障壁に対する是正措置で、米国経済と国家安全保障を守るために必要だと主張している。
ただし、日本が市場開放や障壁撤廃をすれば見直しも可能で、両国が引き続き貿易パートナーとして協働できるよう望んでいる、などと書いてある。
拡散した投稿の「安全保障上の驚異」とは、画像1枚目最後の文章を指している。「この貿易赤字は、我が国の経済に対する重大な脅威であり、国家の安全保障に対する脅威でもあります!(This Deficit is a major threat to our Economy and, indeed, our National Security!)」
各国に同じ内容を配布
トランプ政権は日本だけでなく、関税交渉をしている各国に追加関税率を告げる同様の書簡を送っている。それらの書簡は関税率が各国で異なる以外は、ほぼすべて同じ内容だ。
「国家の安全保障に対する脅威」という文言も、各国への書簡に共通している。ブラジルやカナダなど、一部の国でより厳しい内容が記載されているぐらいだ(時事通信”関税引き上げ、日本とマレーシアのみ 書簡、記述を使い回し―米政権”、AP”A look at the countries that received Trump’s tariff letters”)
日本への書簡の中に「自公政権を親中と認めた」という内容はなく、米国ホワイトハウスのウェブサイトなどにもそのような発表・声明はない。大手メディアによる報道もない。
判定
トランプ大統領が自公政権を親中と認め、安全保障上の脅威とみなした、25%関税はその対抗措置だ、という趣旨の投稿がXで拡散したが、誤り。根拠とされている書簡にそのような内容はなく、「安全保障上の脅威」という文言は他国の書簡にも使われている。自公政権が親中だという内容は一切ない。
出典・参考
Donald J Trump.Truthsocial.https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114812854233087572,Jul 08, 2025,(閲覧日2025年7月18日).
時事通信.”関税引き上げ、日本とマレーシアのみ 書簡、記述を使い回し―米政権”.https://www.jiji.com/jc/article?k=2025070800221 ,(閲覧日2025年7月18日).
AP.”A look at the countries that received Trump’s tariff letters”.https://apnews.com/article/trump-tariffs-countries-letters-166230b4fa2be33ece1825322b34ff6a,(閲覧日2025年7月18日).
検証:根津綾子
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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