嵐のツアー案内やファンクラブを騙るXのなりすましアカウントが出現

嵐のツアー案内やファンクラブを騙るXのなりすましアカウントが出現

2025年5月6日、アイドルグループ「嵐」が、2026年春ごろに予定するツアーをもって活動を終了すると発表した。これに関して、ツアーの案内アカウントを騙ったり、ファンクラブ公式を自称したりする偽アカウントが多数出現しています。株式会社嵐代表取締役の四宮隆史氏は「これらは全て『なりすまし』です」と注意喚起をしています。

検証対象

2025年5月、嵐が活動を終了する前にツアーを開催することを発表したことをうけ、嵐ファンクラブ公式アカウントを騙るアカウントが出現した(例1例2例3)。

そのうちの1つ、「ARASHI Family Club(@ARASHI_FC_2026)」は、5人の写真をトップ画像に使っている。プロフィール欄には「2026年春の特別コンサートに向けた情報や、会員向けコンテンツのお知らせをお届けします」と書かれており、「ARASHI Family Club(@ARASHI_FC_2026)の公式アカウントを開設しました」という投稿もある。フォロワーは5月8日正午の段階で7655人だ。

その他にも、Xで「嵐 2026」と検索すると、多数のアカウントがヒットする。フォロワー数は多くても8000人ほどで偽物だ。

株式会社嵐が注意喚起

株式会社嵐代表取締役の四宮隆史氏は2025年5月6日に自身の公式X(@crg_entertain)を更新し、「これらは全て『なりすまし』ですので、くれぐれもご注意ください」と注意喚起した。

公式を装う偽アカウントに注意

企業やイベント、著名人の偽アカウント、なりすましアカウントが偽の「キャンペーン」や「当選DM」を送ったり、LINEに誘導する事例は多数確認されています。

なりすましアカウントは話題性の高いイベントや著名人になりすまし、フォロワーを獲得した後に投資勧誘や偽のキャンペーン、LINE誘導などをする可能性があるため注意が必要です。IDや開設時期やフォロワー数を確認するようにしましょう。

日本ファクトチェックセンター(JFC)では、過去にも、なりすましアカウントの事例や見分け方についての記事を公開しています。

偽サイト・アカウントの見分け方 ファクトチェック週報
✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 2024年1月29日-2月4日のファクトチェック週報です。能登半島地震に関する誤情報・偽情報は、避難所や支援制度に関するものが増えてきました。公的なサイトでの確認を。偽サイト・偽アカウント関連も多いため、記事で見分け方を確認してみてください。 JFCのファクトチェック記事 「ドイツで政府に不信を抱き立ち上がった国民の一揆」は誤り 「ドイツ政府への国民のデモが日本では報道されていない」などという言説が拡散しましたが、誤りです。デモは移民追放を計画していると報じられた極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に対するもので、日本でも放送、新聞各社が報道しています。 「ドイツで政府に不信を抱き立ち上がった国民の一揆」は誤り 極右政党に反対するデモ【ファクトチェック】「ドイツ政府への国民のデモが日本では報道されていない」などという言説が拡散しましたが、誤り

次々と出現する企業や著名人の偽アカウントに注意 一つの神社だけで100を超える事例も
XやInstagramなどのSNSで、企業や著名人や神社などの公式を装う偽アカウントが続々と出現しています。通報されて削除されても、また新しいものが生まれる状況で、一つの神社だけで100を超える偽アカウントが確認される例もあります。日本ファクトチェックセンターだけでなく、新聞やテレビなどもこの問題を取り上げて来ましたが解決していません。 上野東照宮の偽アカウントが100を超える 東京都台東区にある上野東照宮のX公式アカウントは2025年4月22日、大量の偽アカウントがあると注意喚起の投稿をした。 「Xの上野東照宮偽アカウントが、報告しても報告しても減らず、日に日に増えるばかり、今朝数えたら120ほどありました」 Xでアカウント検索すると、プロフィール欄に「PayPayポイントをプレゼント」と書かれた上野東照宮を騙るアカウントが大量に見つかる。 神社の偽アカウントは他にも確認されている。 東京大神宮(東京都千代田区)のX公式アカウントも4月21日、「偽アカウントの存在が複数確認されました。当宮の写真を使用しておりますが一切関係ございません」と投稿している
村上世彰氏の偽アカウントが多数出現 著名人を装う偽アカウントに注意
投資家の村上世彰氏の偽アカウントが多数出現しています。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスが「村上世彰は個人的なSNSを開設しておらず、また投資の助言や勧誘を行うことも一切ございませんので、ご注意ください」と呼びかけています。 X(旧Twitter)上に多数の偽アカウント X(旧Twitter)で「村上世彰」と検索すると村上世彰氏を名乗るアカウントが多数ヒットする。複数の偽アカウントが同じアイコンや同じプロフィール文を使用しているという特徴があり、2024年3月14日時点でフォロワー数が1.9万を超えるアカウントも存在する。 Facebookで「村上世彰」と検索するとXと同様に村上氏を名乗るアカウントが多数ヒットし、フォロワー数が9000人を超えるアカウントも存在する。 偽アカウントによる投資勧誘等を拡散しない 村上氏の偽アカウントの1つは投資に関する助言のような文面を数多く投稿している。「X投稿と同じ文言を掲示板にも投稿している?」というリプライに対して「これは偽物です」と注意を促すような投稿をしている場面も確認できる。 このよう

検証:木山竣策
編集:藤森かもめ、古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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東京都議選はいよいよ投開票日。先週のミニコラムで指摘したように、偽・誤情報は懸念したほどは広がっていません。ただし、読売新聞が指摘したように、ショート動画の量は増える傾向にあり、ソーシャルメディアが選挙に一定の影響を及ぼす構図は続いています。新聞社やテレビ局のファクトチェック強化や「情報の空白」を埋める試みは、続く参院選などで真価を試されるでしょう。(古田大輔) ※冒頭にミニコラムをつけるようにしました。ご意見・ご感想などはこちら。 ✉️日本ファクトチェックセンター(JFC)がこの1週間に出した記事を中心に、その他のメディアも含めて、ファクトチェックや偽情報関連の情報をまとめました。同じ内容をニュースレターでも配信しています。登録はこちら。 JFCからのお知らせ JFCファクトチェック講師養成講座はこちら 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回は初めての平日開催で

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東京都議選、偽・誤情報の実態 ファクトチェック強化で「情報の空白」は埋まったか【解説】

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6月22日に投開票を迎える東京都議選。昨年11月の兵庫県知事選を受けて、新聞やテレビは偽・誤情報の拡散を警戒し、ファクトチェックの強化や有権者が必要とする情報が不足する「情報の空白」を防ぐ試みが見られました。実態と効果はどうだったのか、解説します。 東京都議選の偽・誤情報は 日本ファクトチェックセンター(JFC)は普段から、偽・誤情報が拡散していないか警戒しており、選挙は特に注目するテーマです。具体的には、ネット上に拡散する選挙関連の情報を以下のような手法などで検知しています。 ・SNS上で人気の投稿をソーシャルリスニングツールで監視 ・視聴数が伸びている動画を独自に監視 ・ファクトチェック・イニシアティブが運営するClaim monitor ・ユーザーからの情報提供 結論から言えば、東京都議選では偽・誤情報は懸念されたほどは拡散していません。それには理由があります。 都議選と2024年兵庫県知事選の違い 都議選は東京都内42選挙区の合計127議席に295人が立候補しています。たった一人が当選する大統領選のような知事選と異なり、各選挙区で1~8人が当

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小泉進次郎農水相が放射能汚染土を日本中にばらまいた? 小泉氏就任前に閣議決定し、現在は中間貯蔵施設に【ファクトチェック】

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川口市の刑法犯で検挙された7割が外国人? データの読み間違い【ファクトチェック】

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川口市内で発生した刑法犯(路上強盗、不同意わいせつ、ひったくりなど)の検挙人員の7割が外国人であるかのような主張がXで拡散しましたが、誤りです。2024年に川口市内で、刑法犯で検挙された外国人のうち、トルコ・中国・ベトナムの3国籍が7割を占めるというデータを誤って解釈しています。 検証対象 2025年6月15日、川口市内で発生した刑法犯罪について「検挙の7割が外国人」という趣旨の投稿がXで拡散した。 2025年6月18日現在、投稿は9800回以上リポストされ、表示回数は290万回を超える。投稿には「移民は日本人が育んだ世界で稀なる世界を打ち壊す」や「終わっとるなぁ 川口市」などのコメントのほか「川口は平和で夜中でも安心して歩けるのが現実」という反論もある。 検証過程 根拠とされた記事の内容は 拡散した投稿には、産経新聞の2025年6月15日付けの記事がついている。「川口の外国人犯罪『トルコ国籍比率ずば抜けている』クルド人に追跡された市議が議会で訴え 『移民』と日本人」という見出しで、6月13日の埼玉県川口市議会の質疑を報じている。 自民党の奥富精

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は7月22日(火)午後2時~3時15分で、お申し込みはこちら。 https://jfckoushiyousei0722.peatix.com/ 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的に

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