沖縄の若者の半数以上が自分を「琉球人」だと考え、日本人だと思っていない? 根拠とされる調査が存在せず【ファクトチェック】
18~35歳の沖縄県民の半数以上が自分は「琉球人」だと考え、日本人だと思っていないと主張する投稿がXで拡散しましたが、誤りです。根拠とされた「ロイター通信とNHKが2025年7月に実施した合同世論調査」は存在しません。
検証対象
拡散した言説
2025年12月2日、「【中国国際放送局】琉球は日本の固有の領土などではない、18~35歳の半数以上が自らを『琉球人』と自認し、日本人とは考えていない」という投稿がXで拡散した。

検証する理由
12月15日現在、投稿は166回リポストされ、表示は15.1万件を超える。
投稿には「琉球人なんて沖縄県民から聞いたこともない」「沖縄に長らく住んでいたが、自らを琉球人だと言う人に会った事は一度もない。完全に作り話」などの指摘もあるが、「中国に行ってそんな説明をデニーがやってんのかな」「中国国際放送局wあ〜あんたらの中ではそうなんでしょうね」など、投稿を真に受けた反応も多い。
検証過程
投稿はまとめサイト 参照元はCGTNの記事
検証対象の投稿には、まとめサイト「エックス速報」の記事へのリンクがある。そのタイトルが「【中国国際放送局】琉球は日本の固有の領土などではない、18~35歳の半数以上が自らを『琉球人』と自認し、日本人とは考えていない」で、記事には、中国国営CCTVの国際放送部門CGTN(China Global Television Network)の12月1日付の記事「【観察眼】『琉球は誰のものか』――高市発言が突きつけた日本の矛盾」へのリンクがついている。
リンク先は12月15日時点で削除されているが、11月7日の高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁を受けて、沖縄の帰属問題に疑義を示す内容。下記の通りだ(記事アーカイブ)。
「NHKとロイター通信が今年7月に行った合同世論調査では、現地に住む18~35歳の半数以上が自らを『琉球人』と自認し、『日本人』とは考えていないことが分かった。また、51%以上が現行の管理体制に反対し、48%以上が『高度な自治』あるいは『独立』を選択肢として支持している」
拡散した投稿は、この内容を根拠にしたと見られる。
NHKとロイターの合同調査とは
根拠とされた「NHKとロイター通信が2025年7月にした合同世論調査」はネット上で見つからない。NHK放送文化研究所のサイトに「ロイター・デジタルニュースリポート2025」は掲載されているが、これはロイター・ジャーナリズム研究所がデジタル化がメディア環境やニュースの利用にもたらす影響を世界各地で調査したものだ。「NHKとロイター通信の合同世論調査」ではない上、CGTNの記事の内容にあたる調査は出てこない。
JFCはNHKに対して、ロイター通信と合同世論調査をしたのか、NHK単独またはロイター通信以外の組織と合同で、同様の内容の調査をしたことはあるかを取材した。NHK広報局は以下の通り、否定した。
「NHKが2025年7月にご指摘の調査を行った事実はありません。このほか、ご指摘のような調査を行った事実は確認されていません」
判定
18~35歳の沖縄県民の半数以上が「琉球人」と自認し、日本人では無いと考えていると主張する投稿がXで拡散した。投稿はまとめサイトによるもので、その引用元は中国の国際放送局CGTNの記事だ。記事には「ロイター通信とNHKが2025年7月に合同で世論調査をした」と書かれ、その結果を引用しているが、この世論調査は存在しない。よって誤りと判定する。
出典・参考
CGTN."【観察眼】『琉球は誰のものか』――高市発言が突きつけた日本の矛盾".
https://megalodon.jp/2025-1207-2033-51/https://japanese.cri.cn:443/2025/12/01/ARTI1764564124138762,(閲覧日2025年12月3日).
検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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