イラン政府が米英仏に対して宣戦布告? まとめサイトによるもの

イラン政府が米英仏に対して宣戦布告したという投稿が拡散しましたが、不正確です。イランは米英仏に対して、イスラエルへの報復攻撃を妨害したら、中東地域に展開する各国の軍事基地や艦船を標的にすると警告しましたが、2025年6月16日現在、宣戦布告はしていません。
検証対象
2025年6月14日、「【速報】イラン政府、アメリカイギリスフランスへ宣戦布告」という投稿が拡散した。

この投稿は2025年6月16日までに156万回以上の閲覧数と2100件以上のリポストを獲得している。投稿には「第三次世界対戦をどうしてもやりたい人がいるんですよね」や「宣戦布告はヤバいよ〜」などのコメントのほか、「宣戦布告ではなく警告ね」という指摘もある。
検証過程
検証対象のリンクは、まとめサイト「ツイッター速報〜BreakingNews」の記事だ。タイトルは掲示板サイト5ちゃんねるのスレッド「【速報】イラン政府、アメリカイギリスフランスへ宣戦布告」で、英語のX投稿を引用元にしている。
英語の投稿内容は次の通りだ。
「速報:イランは、イスラエルへの大規模攻撃を開始する意向を正式にフランス、イギリス、アメリカに通告した。また、これらの攻撃に対する反撃に関与する国は、対立の当事者と見なすと警告している。テヘランは、自国の軍が、湾岸諸国に配備されたものを含む関与国の軍事基地、および艦船や海軍艦艇を標的にすると明言した」
つまり、まとめサイトの根拠となった英語の投稿は、イランが仏英米に対して宣戦布告をしたとは書いていない。英語の投稿は、イランがイスラエルへの大規模攻撃を開始することを仏英米に伝えたこと、イランの攻撃に対する反撃に関与すれば、この戦闘の当事者とみなすと警告したことだけが書いてある。
大手メディアも、6月14日の報道で、イランが米英仏の3か国に対して、イスラエルへの報復攻撃を妨害した場合、中東地域に展開する軍事基地や艦船を「標的にする」と警告したと伝えている(毎日新聞、The Guardian)。
つまり、イランが米英仏に対し警告を発したことは事実だ。
しかし、英語の投稿は、イランが仏英米に対して宣戦布告をしたとは書いておらず、2025年6月16日正午現在(日本時間)、イランが米英仏に対し宣戦布告したという報道もない。
判定
イランは米英仏に対して「イスラエルに対するイランの報復攻撃を妨害する国は、対立の当事者と見なす」と警告したが、2025年6月16日正午現在、3か国に対して宣戦布告したという報道はない。よって、不正確と判定する。
出典・参考
毎日新聞."イラン、米英仏に「妨害なら中東の基地を標的」と警告 地元メディア”.2025年6月14日.https://mainichi.jp/articles/20250614/k00/00m/030/205000c,(閲覧日2025年6月16日).
The Guardian.”Iran threatens to target American, British and French military bases”.https://www.theguardian.com/world/2025/jun/14/iran-threatens-to-target-american-british-and-french-military-bases,(閲覧日2025年6月16日).
検証:根津綾子
編集:藤森かもめ
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