葛西臨海水族園で木を伐採してソーラーパネル施設? 屋上を活用、樹木数は倍以上の計画【ファクトチェック】

「東京都の葛西臨海水族園でも600本の木々の森を伐採して、巨大なソーラーパネルを載せた施設の建設が始まりました」という投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。600本が伐採されるのは事実ですが、パネルは新しい水族園建物の屋上を有効活用するために設置されるもので、パネル用施設を作るわけではありません。森の伐採も工事後は植栽で以前の倍以上の本数になる予定です。
検証対象
2025年8月15日、「東京都の葛西臨海水族園でも600本の木々の森を伐採して、巨大なソーラーパネルを載せた施設の建設が始まりました」「いくら太陽光発電しようと、自然破壊しては意味がない」という投稿がXで拡散した。

9月8日現在、投稿は1.6万回以上リポストされ、表示は307.9万件を超える。
投稿には「ここは人工ながらも自然を取り戻そうと様々な努力がされ、時間をかけて木が茂り、川や池には色々な生物が住む豊かな場所となりました。しかしメガソーラーがそれを破壊しました」「自分たちの時代だけ、よければいいのでしょうか 何十年、何百年と続く森がいかに大切か」というソーラー施設への批判的なコメントがついています。
検証過程
「600本の木々を伐採」? 樹木数は倍以上に増加へ
東京都は「葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に関するよくある質問」というページで、敷地の樹木について説明している。要点は次の通りだ。
・新施設の計画敷地には、植栽した樹木が約1700本あった
・樹木診断の調査で、倒木や枝折れの危険・生育に問題があり移植しても枯れる可能性が高い木などが約400本あると判明
・この約400本と、生態系脅かすリスクのある外来種約200本の計約600本を工事に伴い撤去した
・残り約1100本のうち約300本は保存、約800本は移植した
・保存・移植する樹木に加えて、新たに約2400本植栽する
(東京都”葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に関するよくある質問”18)
つまり、拡散した投稿の「600本を伐採」という部分は正しいが、新たに2400本植栽するため、工事後は以前の倍以上の3500本になる。
「巨大なソーラーパネルを載せた施設の建設」?
拡散した投稿は「巨大なソーラーパネルを載せた施設の建設が始まった」と書いている。
都はウェブサイトで「大量の樹木を伐採して太陽光パネルを設置するというのは本当ですか」という問いに対し、次のように回答している。
「太陽光パネルは、新しい水族園建物の屋上スペースを有効活用し設置するものです。地面に設置するものではありません。従って、太陽光パネルを設置するために樹木を伐採するということもありません」(東京都”葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に関するよくある質問”)
拡散した投稿の「ソーラーパネルを載せた施設の建設」という部分は正しいが、ソーラーパネルを設置するために施設を建設しているわけではない。
判定
「東京都の葛西臨海水族園でも600本の木々の森を伐採して、巨大なソーラーパネルを載せた施設の建設が始まりました」という投稿がXで拡散した。計画敷地の樹木本数は工事に伴い一時的に減少するが、移植やあらたな植栽で最終的には現在の倍以上に増える予定だ。よって、ミスリードで不正確と判定する。
出典・参考
東京都”葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に関するよくある質問”.2025年6月23日.https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/park/zoo/kasairinkaisuizokuen/kasairinkaisuizokuenqa,(閲覧日2025年9月8日).
検証:根津綾子
編集:古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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