「1年間で過去最多9700人の技能実習生が失踪し、不法移民に」? 多くは見つかり出国も、2024年は3割減 【ファクトチェック】

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「1年間で9700人もの技能実習生が失踪し、不法移民に」という趣旨の投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。2023年の1年間で9753人が失踪したのは事実ですが、その後所在が確認された人数を除くと2983人。また、最新の2024年のデータでは失踪者は約3割減っています。

検証対象

2025年9月15日、「職場から失踪した技能実習生は、去年だけで 過去最高の9700人余に」というNHKの記事を引用し「1年間で9700人の不法移民だよ。制度として破綻している」という投稿がXで拡散した。

9月18日現在、1.8万回以上リポストされ、表示は133.9万件を超える。

投稿には「これら不良外国人が勝手に繁殖してアンカーベイビーなるモノを作って、教育がどうの人権がどうのっつって永住権を得ようとごねるんだよな」「失踪した9700人の実習生だけではありません。トルコ人はノービザ状態で、蛇口開きっ放しの儘です」や「このNHKの記事は1年前のものですね」などの指摘がある。

検証過程

データは2023年のもの、翌年は約3割減

拡散した投稿はNHKの記事「職場から失踪した技能実習生 過去最高の9700人余に」を引用している(NHK”職場から失踪した技能実習生 過去最高の9700人余に”)。

記事は2024年9月20日付で「日本で働きながら技能を学ぶ外国人技能実習生のうち、職場から失踪した人の数が去年、過去最高の9700人余りとなったことが分かった」などと報じている。

つまり、9700人余りが失踪したというのは2023年のデータだ。

出入国管理庁の2025年の資料によると、2024年の失踪者数は6510人。2023年の3243人(33.3%)減少している(出入国管理庁”技能実習生の失踪者数の推移”p1)。

「失踪者」の約7割は所在確認し、退去強制も

拡散した投稿は「1年で9700人の不法移民」と書いているが、失踪者がすべて「不法移民」として日本に残っているわけではない。

出入国在留管理庁の資料によると、2023年の失踪者9753人のうち6770人(69.4%)は所在が確認されて、退去強制など出国した人は4508人にのぼった。2024年は失踪者6510人のうち3559人(54.7%)の所在が確認され、出国は1951人だった(出入国管理庁”技能実習生の失踪者数の推移”p5)。

失踪者の減少に関して、送り出し国の送り出し機関に対する申し入れや、受け入れ側では安定的な賃金の支払い、不適正な受け入れ機関に関する情報収集などの取り組みが実施されている(出入国管理庁”技能実習生の失踪者数の推移”p2)。

判定

1年間で9700人もの技能実習生が失踪し、不法移民にという趣旨の投稿が拡散した。2023年の1年間で過去最高の9753人の失踪が確認されたのは事実だが、その後所在が確認された人数を除くと2983人で、所在が確認されたのちに出国したのは4508人にのぼり、失踪した全員が不法移民として日本に滞在しているわけではない。また、2024年のデータでは失踪者は約3割減っている。よって、ミスリードで不正確と判定する。

出典・参考

NHK.”職場から失踪した技能実習生 過去最高の9700人余に”.2024年9月20日https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240920/k10014586371000.html, (閲覧日2025年9月18日).

出入国管理庁.”技能実習生の失踪者数の推移”. https://www.moj.go.jp/isa/content/001425159.pdf, (閲覧日2025年9月18日).

検証:根津綾子
編集:古田大輔


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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