介護福祉士の国家資格は外国人だと不合格でも取得OK? 国籍関係なしの特例運用【ファクトチェック】

介護福祉士の国家資格について「外国人は不合格でも取得できる特例がある」という投稿が拡散しましたが、不正確です。特例が適用された外国人が多いのは事実ですが、国籍に関係なく日本人にも適用されます。
検証対象
2025年6月13日、2ちゃんねる開設者のひろゆき氏が、介護福祉士の国家資格について「日本人だと試験に不合格だと資格が取れないが、外国人だと不合格でも資格が取れる。特例適用8000人は外国人が中心。外国人だけ有利にして日本人が損する措置」という趣旨のポストをXに投稿した。

2025年6月25日現在、リポスト数は1.5万、表示回数は323.9万を超える。投稿には「日本人の職場がどんどん奪われている」や「選挙に行かねーとマジでこの地獄から脱却出来ねーぞ」などの反応のほか、誤りを指摘するコミュニティーノートもある。
検証過程
「特例措置適用者の多くが外国人」は事実
拡散した投稿には、読売新聞の記事「介護福祉士の国家資格『不合格でもOK』特例適用8000人超、外国人が中心…継続に賛否」へのリンクがついている。
記事は「介護分野の国家資格『介護福祉士』について、国などが指定する養成施設を卒業すれば、国家試験に不合格でも取得できる『特例措置』の適用者が2017年度以降、外国人を中心に8000人を超えた」と伝えている(読売新聞”介護福祉士の国家資格『不合格でもOK』特例適用8000人超、外国人が中心…継続に賛否”)。
日本ファクトチェックセンター(JFC)は、介護福祉士国家試験を実施している公益財団法人社会福祉振興・試験センターに取材した。特例の適用者数は日本人・外国人含め、2024年度までで計8033人にのぼるという。
また、日本介護福祉士養成施設協会への取材では、2023年度までの7年間に養成施設を卒業した外国人留学生は8346人で、その内卒業時に国家試験に合格したのは3284人。残る5000人超が特例措置の対象だったという。
つまり、ひろゆき氏の主張のうち、「特例適用は外国人が中心」は事実だ。
「養成施設ルート」に国籍の限定はない
社会福祉振興・試験センターのサイトによると、資格取得には「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」「EPAルート」の4つの方法がある。ひろゆき氏が言及した「特例措置」は、この「養成施設ルート」のことだ。サイトには、「養成施設ルート」に関して次のような注意書きがある。
「養成施設を令和8年度末までに卒業する方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます」(社会福祉振興・試験センター"介護福祉士国家試験 受験資格")。
この特例措置は、外国人に対する優遇なのか。社会福祉振興・試験センターの担当者は、次のように回答した。
「この措置は、平成29年から令和9年3月までに介護福祉士養成施設を卒業する人が対象となっている。指定の養成施設の卒業者であれば、日本人も登録されている。国籍は関係ない」
つまり、ひろゆき氏の主張のうち「外国人だけ有利にして日本人が損する措置」は誤りだ。
判定
ひろゆき氏が、介護福祉士資格の特例措置について「外国人だけ有利にして日本人が損する措置」という趣旨の投稿をした。特例措置が適用された外国人が多いことは事実だが、措置に国籍は関係ない。よって、不正確と判定する。
出典・参考
読売新聞."介護福祉士の国家資格「不合格でもOK」特例適用8000人超、外国人が中心…継続に賛否".2025年6月12日.https://www.yomiuri.co.jp/national/20250612-OYT1T50041/, (閲覧日2025年6月27日)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター.”介護福祉士国家試験 受験資格”.https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html, (閲覧日2025年6月27日)
検証:根津綾子
編集:藤森かもめ、古田大輔
判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。
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