フェイクニュースと詐欺 堀江貴文氏や前澤友作氏など「なりすまし」への対策【JFCファクトチェック講座 理論編9】

フェイクニュースと詐欺 堀江貴文氏や前澤友作氏など「なりすまし」への対策【JFCファクトチェック講座 理論編9】

日本ファクトチェックセンター(JFC)のファクトチェック講座です。

理論編第8回はニュースの読み方などニュースリテラシーについてでした。第9回は急増しているオンライン詐欺とその対策について説明します。

(本編は動画でご覧ください。この記事は概要をまとめています)

急増するオンライン詐欺の実態

SNSやメッセージアプリを利用したオンライン詐欺は、近年増加しています。

著名人の写真や映像を勝手に利用した詐欺広告が多く見られ、警察庁によると2023年の投資詐欺の認知件数は2271件、被害総額は約278億円に上ります。

被害者は主にFacebookやインスタグラムで詐欺に遭い、最終的にはLINEで連絡を取って振り込ませる手口が使われています。

クリティカルシンキングによる自衛

泥棒を取り締まる法律があっても自分で家に鍵をかけるように、オンライン詐欺から身を守るためには、ネット上での自衛策が必要です。

クリティカルシンキングで吟味し、立ち止まって考えましょう。突然、有名人が投資情報をあなたに売り込んでくることに疑問を持つ。そのアカウントのIDが公式のものと違ったり、フォロワー数が非常に少なかったりします。

偽物であるかと疑いを持ち、確認しましょう。

URLを確認 公式ページを検索する

URLの確認も重要です。

アカウントやページの名前は、公式と同じものを他人が名乗ることができますが、IDやURLは固有のものです。検索をして公式ページを探し、比較してみましょう。

また、著名人の名前や会社の名前に「詐欺」や「怪しい」といったキーワードを組み合わせて検索することで、過去の被害者の経験談やファクトチェック記事を見つかることもあります。

高齢者の被害、家族や知人で注意を

インターネットやSNSは若者だけでなく、高齢者にも利用されています。

高齢者は詐欺のターゲットになりやすく、例えば、茨城県の70歳の女性がインスタグラムの詐欺広告で約7億円の被害を受けました。

JFCとグロコムが実施した2万人調査では、高齢者はネット上の情報や検証について自ら学ぶ意欲が低いため、家庭や知人同士で注意を呼びかけ合うことが重要です。

次回はAIや国家レベルの情報工作

JFCではシニア向けに、ネットで学ぶだけでなく紙のパンフレットを作成して配布する計画を立てています。これにより、ネットの特性や自分たちのバイアス、詐欺対策について学ぶ機会を提供します。

次回は理論編の最終回。AIや国家レベルの情報工作について解説する予定です。

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動画を見た方は、ぜひ簡単なアンケートにご協力ください。 https://forms.gle/QdVa9A5v3RDnfBW59

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黄砂は中国の農業が引き起こしている? 無関係な動画【ファクトチェック】

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多数のトラクターが砂塵を巻き上げながら走っている動画と共に「黄砂は中国の人工的なテロ」と主張する投稿が拡散しましたが、誤りです。拡散した動画はブラジルの農業風景を映したもので、中国は関係ありません。動画はこれまでにも世界中で違う文脈で拡散しています。 検証対象 2025年3月13日、「黄砂🇨🇳って人工的なテロだったんだね…」と書かれた投稿が拡散した。多数のトラクターが砂塵や土埃のようなものを巻き上げながら走っている様子が映った動画が添付されている。 投稿は約1500件のリポストと約17万件のインプレッションを獲得している。「日本に飛来するようにわざとやってます⁉」「もしかしてワタシの持病の粉塵アレルギーや気管支喘息ももしかしてコレの所為?」などのコメントが付く一方で、フェイクを指摘する声もある。 検証過程 過去に中国とは別の文脈で拡散した動画 日本ファクトチェックセンター(JFC)が投稿に添付された動画の一部をGoogle画像検索で調べたところ、同じ動画を使ったYouTube動画やXの投稿がヒットした(投稿1、投稿2、投稿3)。 これらの投稿

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
兵庫県百条委、告発7つを全否定? テレビ画像を加工【ファクトチェック】

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兵庫県・斎藤元彦知事に関する県議会の百条委員会が、告発された7項目全てを否定したという情報が拡散しましたが、誤りです。根拠とされたテレビ画像は加工されています。 検証対象 2025年3月9日、「7つの告発」という見出しに、「職員へのパワハラ」「不当な解任で理事長急死」など、斉藤知事に対する告発の7項目が書かれ、いずれもバツ印と「否」の文字がついているテレビ番組と思われる画像の投稿が拡散した。「百条委員会ってやる意味あったの?」という文言がついている。 3月14日現在、46万以上の閲覧と280あまりのリポストがついて、「結論ありきでホント酷かった」「ないですよね…微塵も」「時間と税金の無駄遣い委員会」などのコメントがついている。一方、コミュニティノートが付き「加工された画像」だと指摘している。 検証過程 画像はサンデージャポンの一場面 拡散した画像の右上には爆笑問題の太田光さんらが映っており、TBS「サンデージャポン」のように見える。拡散した投稿のリプ欄にはサンデージャポンの該当箇所と思われる動画をつけた投稿もある。 この動画を見ると、拡散した画像

By 宮本聖二
新型コロナワクチンで寿命が短くなる? 根拠不明のデータ【ファクトチェック】

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新型コロナワクチンで寿命が短くなることを示したデータがあるという情報が拡散しましたが、根拠不明です。同じような情報が過去に世界でたびたび拡散していますが、いずれも「根拠不明」と判定されています。 検証対象 2025年2月12日ごろから、30歳の人が3回新型コロナワクチンを打ったら55歳までしか生きられないデータが出たという主張や、新型コロナワクチンは人口削減ワクチンだなどと言う投稿がXで複数拡散した(例1、例2)。 投稿は、多いものは3000回以上リポストされ、表示は269.3万回を超える。投稿には「そもそも政府がグレートリセットって発言されてます」「3回打たされた小中学生はどうなるんだろう…」などのコメントのほか「統計出せるほど年数経ってませんがね」「どうやってデータ取ったんだよ笑」という批判もある。 検証過程 新型コロナワクチンの接種から約4年しか経っていない 検証対象は、「30歳の人が3回コロナワクチンを打ったら55歳までしか生きられないデータが出た」「統計が出ている」などと主張する。同ワクチンの一般人への接種が始まったのは英国が初めてで、2

By 日本ファクトチェックセンター(JFC)
菅元首相がワクチン注射を誤魔化した? 映像の角度によるもの【ファクトチェック】

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菅義偉元首相が「刺すと引っ込む針」を使ってワクチン接種を誤魔化したという情報が拡散しましたが、誤りです。拡散した動画では注射針が消えたように見える場面がありますが、別の映像では針がはっきりと映っています。 検証対象 2025年3月3日、菅元首相(当時)が2021年3月16日に新型コロナのワクチン接種をする動画とともに「日本国民のみなさん、まだ騙されたままですか? 首相を含め政府関係者が、インチキなAIR接種をしてることに気づきましょう」という投稿が拡散した。 この動画を見ると注射の針が消えているように見える場面がある。そこを指摘して「刺すと引っ込む針ですね」「生物兵器であることを知ってて、わざわざ自分から打つわけないでしょ」などのコメントがついている。この投稿は910万の閲覧と2500を超えるリポストがある。 検証過程 拡散した動画の内容は 投稿につけられた動画は15秒。マスク姿の菅氏が注射を受けている。医者が注射を取り出すと針が飛び出たように見える。これが「刺すと引っ込む針」「AIR注射」などと批判が出る根拠となっている。 動画の左上にはテレビ

By 宮本聖二