新型コロナワクチンは人類に対する犯罪? 米トランプ政権がその被害を認めた? 接種の推奨範囲を縮小【ファクトチェック】

新型コロナワクチンは人類に対する犯罪? 米トランプ政権がその被害を認めた? 接種の推奨範囲を縮小【ファクトチェック】

新型コロナウィルスについて、ワクチン接種が「人類に対する犯罪」で、米トランプ政権がその被害を認めたという趣旨の投稿が拡散しましたが、ミスリードで不正確です。米疾病対策センターが、2025年10月6日付でウェブサイトに「接種は個別判断に切り替えた」と掲載したことは事実ですが、米政府がワクチン被害を犯罪だと認めたわけではありません。またトランプ大統領は、10月に新型コロナウィルスワクチンの追加接種を受けています。

検証対象

拡散した言説

2025年11月7日、「コロナワクチン接種は、人類に対する犯罪。米国もトランプ政権がその被害を認めている」などという投稿がXで拡散した。

検証する理由

2025年11月17日現在、投稿は530回リポストされ、表示は30.8万件を超える。

投稿には「つい先日、トランプ大統領はファイザーを讃えて、自身もブースターを接種したばかりですよ」「デマはやめましょう」などの指摘もあるが、「あれだけの甚大な薬害が生じているにも関わらず、それを認めず、未だ接種を中止しないというのは、高市さんが所詮グローバリストだということを如実に表していると思います」や「高市総理ハギレが悪かったです 保守系の人はガッカリだったと思います」など同調するコメントも多い。

検証過程

米政権が接種対象を縮小しているのは事実

米疾病対策センター(CDC)は10月6日、「CDC、COVID-19ワクチンの接種判断を個別判断方式へ移行 幼児の水痘ワクチンは単独接種へ」という声明をウェブサイトに掲載した。

このうち、新型コロナワクチンに関する要点は以下の通りだ。

「CDCは本日、成人および小児向けの予防接種スケジュールを更新し、新型コロナワクチンについて個別判断を適用する方針に改めた」

「COVID-19 初回接種は、米国成人の推定約85%に達したとされる。一方で、CDCが直近に推奨した季節性ブースターを接種した成人は23%にとどまった(全国予防接種調査による)」

「国民全体で免疫が獲得され、新型コロナウイルスが風土病化(エンデミック化)するにつれ、追加接種(ブースター)についてはその安全性と有効性のリスク・ベネフィットに関する懸念が広く生じるようになった」

「ACIP(予防接種諮問委員会)の勧告は、65歳未満では、重症化リスクの高い人のほうがワクチン接種のリスクとベネフィットのバランスが最も良く、リスクが高くない人ではそのバランスが最も低くなると強調した」

(以上CDC”CDC Immunization Schedule Adopts Individual-Based Decision-Making for COVID-19 and Standalone Vaccination for Chickenpox in Toddlers”)。

つまり、重症化リスクの高い人はワクチン接種のメリットが大きく、リスクが高くない人は接種のメリットが小さくなることなどから、接種は個別判断に切り替えたということだ。

CDCは2025年6月6日に声明を出した時点では、新型コロナワクチンの接種を「18歳以上の大多数の成人に接種推奨」「生後6か月から17歳までの子どもについては、保護者が医療提供者と接種の利点について相談するよう求める」という方針をとっていた(CDC”Staying Up to Date with COVID-19 Vaccines”)。

新型コロナワクチン接種を「犯罪」と認定した事実はない

拡散した投稿は「コロナワクチン接種は、人類に対する犯罪。米国もトランプ政権がその被害を認めている」と書いている。

米政府で感染症対策などを担当するCDCは、新型コロナワクチンによって副反応が出ることがあり、まれだが重篤な例として「重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)」「心筋炎および心膜炎」などを挙げている(CDC”Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Vaccine Safety”Jan. 31, 2025)。

しかし、2025年11月18日現在、国民にワクチン接種を推奨したことについて、米政府が「犯罪」や「過失」などと認めたという発表や報道はない。

トランプ氏は10月にワクチン接種

トランプ氏は、10月に新型コロナウイルスワクチンの追加接種とインフルエンザの予防接種を受けた、と複数のメディアが報じている(CNN”トランプ氏、新型コロナとインフルのワクチン接種受ける 今年2回目の健康診断で”2025年10月11日、CNBC”Trump gets Covid vaccine and flu shot during second checkup of the year”2025年10月11日)。

国会動画にも「米政府が犯罪と認定」という言及はない

拡散した投稿には、11月6日の参院本会議で参政党の神谷宗幣代表が高市早苗首相にワクチンについて質問した場面の一部を切り取ったYouTube動画が添付されている。

参院本会議の動画を確認したところ、神谷代表は「アメリカではトランプ大統領のもと、ロバート・ケネディ・ジュニア 保健福祉長官が主導し、mRNAワクチンの安全性や有効性リスクについての徹底検証が進められています」「CDCの諮問委員会は全国民に対する年1回のコロナワクチン一律推奨を辞めるように勧告し、個別判断への移行を行いました」などと発言している。

しかし、「米政府がワクチン接種を犯罪と認定した」とは発言していない。

関連するファクトチェック

アメリカのファクトチェック団体「Factcheck.org」は2023年に「CDCがコロナワクチンが衰弱性疾患を引き起こすと認めた」という言説を検証し、「誤り」と判定している(Factcheck.org”Posts Falsely Claim CDC Official Admitted COVID-19 Vaccines Cause ‘Debilitating Illnesses’”)。

同様の言説はこれまでにも繰り返し拡散し、検証されている。

判定

新型コロナウィルスについて、ワクチン接種が「人類に対する犯罪」で、米トランプ政権がその被害を認めたという趣旨の投稿が拡散した。CDCが接種対象者を縮小したことは事実だが、米政府がワクチン被害を犯罪だと認めたわけではない。またトランプ大統領は、2025年10月に新型コロナウィルスワクチンの追加接種を受けている。よって、ミスリードで不正確と判定する。

出典・参考

CDC.”CDC Immunization Schedule Adopts Individual-Based Decision-Making for COVID-19 and Standalone Vaccination for Chickenpox in Toddlers”2025年10月6日.https://www.cdc.gov/media/releases/2025/cdc-immunization-schedule-adopts-individual-based-decision.html,(閲覧日2025年11月19日).

CDC.”Staying Up to Date with COVID-19 Vaccines”.2025年6月6日.https://www.cdc.gov/covid/vaccines/stay-up-to-date.html,(閲覧日2025年11月19日).

CDC.”Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Vaccine Safety”. 2025年1月31日.https://www.cdc.gov/vaccine-safety/vaccines/covid-19.html,(閲覧日2025年11月19日).

CNN.”トランプ氏、新型コロナとインフルのワクチン接種受ける 今年2回目の健康診断で”.2025年10月11日.https://www.cnn.co.jp/usa/35239117.html,(閲覧日2025年11月19日).

CNBC.”Trump gets Covid vaccine and flu shot during second checkup of the year”2025年10月11日.https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/trump-gets-covid-vaccine-flu-shot-medical-exam-walter-reed-rcna236998,(閲覧日2025年11月19日).

Factcheck.org.”Posts Falsely Claim CDC Official Admitted COVID-19 Vaccines Cause ‘Debilitating Illnesses’”.https://www.factcheck.org/2023/02/scicheck-posts-falsely-claim-cdc-official-admitted-covid-19-vaccines-cause-debilitating-illnesses/,(閲覧日2025年11月19日).

検証:根津綾子
編集:古田大輔、藤森かもめ


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