総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」に関して

総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」に関して

この度、日本ファクトチェックセンター(JFC)は、総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」において採択された株式会社データグリッドおよび日本電気株式会社にそれぞれ協力することを決定しましたのでお知らせいたします。

具体的には、ファクトチェック記事配信までの手法についてのヒアリングに応じるほか、試作ツールを利用して感想を述べるなどの活動を行います。いずれも対価を受けない形での協力となります。 

なお、JFCは、「編集権の独立」を重視するガバナンスを掲げているため、政府が資金提供を条件にファクトチェックの内容、記事の編集、組織の運営方針について介入または強制する形態で、政府から資金提供・助成を受けたことはこれまでにありません。

また、今後もそのような形態で助成を受けるつもりはありません。一方で、政府支援が一律に認められないものとは考えておらず、その内容や透明性を考慮した上で個々に判断されるべき事項と考えています。 

本開発・実証事業については、事業者より打診を受けた際に運営委員会で検討を行い、上記方針に反する事実はみとめられないと判断し、当初は有償にて引き受けることとしていましたが、その後、未だ我が国においては政府支援についての社会的な議論が進んでいない点を考慮し再度検討を行った結果、ヒアリングに応じる編集部の負担を調整の上、今回は無償で対応できる範囲内で引き受けることとしました。

政府支援の問題につきましては、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証基準や世界のファクトチェック機関の事例等を元に、今後、広く国際的・社会的な議論が展開されることを期待しています。


判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。

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実業家・前澤友作氏になりすましたAI偽広告に注意

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実業家の前澤友作氏になりすました偽広告がYouTubeなどで拡散しています。AIで生成したと見られ、前澤氏自身がSNSで注意喚起をしています。 YouTube広告に著名人の偽広告 実業家の前澤友作氏になりすました偽のYouTube広告が拡散している。偽の動画では、前澤氏が株式投資を勧め、「10倍にしたい人、今すぐ耳を傾けてください」などとLINEへの登録を促している。 一部不自然な日本語で話していたり、唇と発言が一致していない場面もある。また動画上部には「KABU&」と書かれている。 広告リンクをクリックすると、「前澤友作のLINEを無料で追加し、『受取』と送信するだけで、翌日値上がりする銘柄がわかります。さらに、毎週60%の利益が期待できる優良銘柄情報も入手できます」と表示され、「特別な投資情報をお届けします!」とLINEへの登録を促している。 前澤氏やカブアンドもSNSで注意喚起 前澤氏は自身のXアカウントで注意喚起している。 「【拡散希望】前澤やカブアンドを騙る『偽の動画広告』について以下の動画は、すべて個人情報や金銭を騙し取ろうとする極めて

By 木山竣策
参政党、日本保守党に特別委員会の割り当てなし? 画像は過去のもの【ファクトチェック】

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2025年7月の参院選で議席を獲得した参政党と日本保守党について「特別委員会の割り当てがない、国民の支持で議席を得た政党が、委員会審議に参加できないのは代表性の欠如」と国会を批判する投稿が拡散しました。これはミスリードで不正確です。画像は2025年1月〜6月の国会資料で、2025年7月の参院選後、参政党、保守党ともに議席に応じて各特別委員会の席が割り当てられています。 検証対象 2025年8月4日、「参政、保守に特別委員会の割り当てなし。国民の支持で議席を得た政党が、委員会審議に参加できないのは代表性の欠如。少数政党だからって、発言の場すら奪うなんてあまりにも理不尽だ」という投稿が根拠とされる画像付きで拡散した。 投稿したアカウントは@Hoshuto-kaihaで「日本保守党会の国会議員、河村たかし、島田洋一、竹上裕子の『会派』アカウント」とプロフィールに記している。 拡散した画像には「※参政、保守については割当なし」と書かれた資料が映っている。 8月15日現在、この投稿は8800件以上リポストされ、表示回数は68万回を超える。投稿について「あれだけ議席

By 木山竣策
太陽光パネルを屋根につけると火災保険に入れない? 損保大手3社など否定【ファクトチェック】

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「太陽光パネルを屋根につけると火災保険に入れない」という投稿が拡散しましたが、根拠不明です。大手損害保険会社3社は公式サイトで保険対象になると説明しています。2025年4月から新築住宅への太陽光パネルの設置等を義務付けている東京都も「太陽光パネルを設置した住宅は火災保険に入ることができる」と説明しています。 検証対象 8月5日、「保険屋さんから聞いたんだけど太陽光パネル屋根に実施すると火災保険に入れないとか」「東京都新築に義務化だったわよね?」という投稿がXで拡散した。 8月15日現在、投稿は6700回以上リポストされ、表示は402万回を超える。 投稿には「火事になった時、水かけられないからでしょ」「発火する可能性が屋根にある訳ですからね」というコメントの一方で「デマです」「その保険屋さん嘘つきだから、他の保険屋さんに契約変えた方が良いよ」という指摘もある。 検証過程 大手損保3社は火災保険の対象、ただし条件も 大手損害保険3社「東京海上日動」「MS&AD三井住友海上」「損保ジャパン」は、自社サイトに太陽光パネルを設置した住宅が火災保険の対象にな

By 根津 綾子(Ayako Nezu)
中国の土石流? インドの映像【ファクトチェック】

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「中国で災害が多発している」という文言付きの土石流の動画が拡散しましたが、中国の映像ではなく誤りです。動画はインド北部で2025年8月5日に発生した土石流の映像です。 検証対象 8月10日、「中国では、災害が多発しているようです。やはり、神様は天から観ています」という文言付きの動画がXで拡散した。 8月14日現在1300回以上リポストされ、表示は94.9万回を超える。投稿には「難民ヅラして日本に来られたらイヤなんですけど😥」や、「3.11を仙台で体験した被災者だがそれは行いが悪いと我々にも言っているのか?酷くない?」「これってネパールかインドのヒマラヤ地区で起きた災害の映像じゃなかったっけ?」という指摘もある。 検証過程 動画はインド北部の土石流の映像 拡散した動画をGoogleレンズで検索すると、多数の動画が表示される。8月5日にインド北部で起きた土石流の被害を伝える内容だ(Daily Mail、Channel 4 News、ITV News)。 拡散した動画をこれらの映像と比較すると、画角や建物などから、同じ場所を撮影したものであると分かる

By 根津 綾子(Ayako Nezu)

ファクトチェック講座

JFCファクトチェック講師養成講座 申込はこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、ファクトチェックやメディア情報リテラシーに関する講師養成講座を月に1度開催しています。講座はオンラインで90分間。修了者には認定バッジと教室や職場などで利用可能な教材を提供します。 次回の開講は8月23日(土)午後2時~3時15分で、お申し込みはこちら。 https://jfckoushiyousei0823.peatix.com 受講条件はファクトチェッカー認定試験に合格していること。講師養成講座は1回の受講で修了となります。 受講生には教材を提供 デマや不確かな情報が蔓延する中で、自衛策が求められています。「気をつけて」というだけでは、対策になりません。最初から騙されたい人はいません。誰だって気をつけているのに、誤った情報を信じてしまうところに問題があります。 JFCが国際大学グロコムと協力して実施した「2万人調査」では実に51.5%の人が誤った情報を「正しい」と答えました。一般に思われているよりも、人は騙されやすいという事実は、様々な調査で裏打ちされています。 JFCではこれらの調査をもとに、具体的にど

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
理論から実践まで学べるJFCファクトチェック講座 20本の動画と記事を一挙紹介

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日本ファクトチェックセンター(JFC)は、YouTubeで学ぶ「JFCファクトチェック講座」を公開しました。誰でも無料で視聴可能で、広がる偽・誤情報に対して自分で実践できるファクトチェックやメディアリテラシーの知識を学ぶことができます。 理論編と実践編の中身 理論編では、偽・誤情報の日本での影響を調べた2万人調査の紹介や、間違った情報を信じてしまう背景にある人間のバイアス、大規模に拡散するSNSアルゴリズムなどを解説しています。 実践編では、画像や動画や生成AIなど、偽・誤情報をどのように検証したら良いかをJFCが検証してきた事例から具体的に学びます。 JFCファクトチェッカー認定試験を開始 2024年7月29日から、これらの内容について習熟度を確認するJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。誰でもいつでも受験可能です(2024年度中は受験料1000円、2025年度から2000円)。 合格者には様々な技能をデジタル証明するオープンバッジ・ネットワークを活用して、JFCファクトチェッカーの認定証を発行します。 JFCファクトチェッカー認定試験

By 古田大輔(Daisuke Furuta)
JFCファクトチェッカー認定試験  教材と申し込みはこちら

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日本ファクトチェックセンター(JFC)はJFCファクトチェッカー認定試験を開始します。YouTubeで公開しているファクトチェック講座から出題し、合格者に認定証を授与します。 拡散する偽・誤情報から身を守るために 偽・誤情報の拡散は増える一方で、皆さんが日常的に使用しているSNSや動画プラットフォームに蔓延しています。偽広告や偽サイトへのリンクなどによる詐欺被害も広がっています。 JFCが国際大学グロコムと実施した2万人を対象とする調査では、実際に拡散した偽・誤情報を51.5%の割合で「正しいと思う」と答え、「誤っている」と気づけたのは14.5%でした。 自分が目にする情報に大量に間違っているものがある。そして、誰もが持つバイアスによって、それが自分の感覚に近ければ「正しい」と受け取る傾向がある。インターネットはその傾向を増幅する。 だからこそ、ファクトチェックやメディアリテラシーに関する知識が誰にとっても必須です。 JFCファクトチェック講座と認定試験 JFCファクトチェック講座(YouTube, 記事)は、2万人調査を元に偽・誤情報の拡散経路や

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